年が明け平成23年がスタートしました。今年こそは、景気が回復し中小零細企業の皆さんが元気になるように祈らずにはおられません。
今回のコラムは、昨年を振り返ることによって、今年の課題を見つけたいと思います。
1、景気の低迷
景気に関しては、大企業では底を脱し上向きになっておりますが、中小零細企業では、停滞したままであり、逆に悪化したところもあります。ある加工業者は8月以降注文が減っており、ネットからの問合せも減少したとのことです。
円高の影響も大きいです。海外に輸出している事業所では、春以降回復基調であったが、これからという時に円高になり、業績が低下しました。1ドルが80円台では、大手のように対応できず、利益がでない状態です。
海外の影響という点では、対中国との取引があげられます。ファッション商品を中国で生産している事業所では入荷しないトラブルがありました。中国では旧正月で故郷に帰った従業員が、正月が終わっても工場に帰って来ないことが多々あるそうです。その協力工場でも従業員が帰って来なく、その上、労働争議もおこり、商品の生産ができなくなったとのことです。販売する商品がなくなり大きな痛手をうけました。
2、金融に関すること
金融の面では、昨年は、設備投資への意欲が極端に少なかったです。車のエコポインもあったのですが、買い替えする需要が少なかったです。
運転資金の需要も保証協会付きの銀行借り入れが多かったためか、マル経融資(小規模事業者経営改善資金制度)の利用希望者が減少しました。
倒産・廃業する事業所も多く、発表される統計が疑われます。
3、IT契約に関わるトラブル
中小零細企業はITに関することに詳しい方が少なく、その上、契約に関することは特にトラブルがおきます。ある事業はホームページの作成を業者に全面的にまかせていたが、その業者が倒産し、サーバー代だけを支払うことになりました。また、パッケージの修正で膨大なお金を要求されたなど、業者の言うままに進めていったためと思われます。
以上、これをふまえ今年の課題を考えてみたいと思います。
1、景気の回復は最も重要です。政治の安定、急激な円高対策を政府・日銀にとってもらうことです。事業者もただ見ているだけでなく、いい機会だから経営革新に取り組み事業の見直しが必要です。例えば、製造業ならば自社の技術を活かし新製品を開発するなどがあります。世界一細い注射針を開発生産しているのは従業員9名の岡野工業さんです。また、インターネットを活用することもあります。
海外との取引に関しては、一国集中でなく、リスクマネジメントとして、東南アジアなど多面的な取引が必要となります。すぐには無理ですが、今後のことを考えセミナーへの参加や、支援機関などへの相談をすることだと考えます。
2、経営計画特に資金繰り計画をたて、経営の安定をめざすことです。社長や代表者のなかには、売上が低下したから借入をすればいいと安易に考えておられる方もいます。今後の受注見込みもなく借入を増やせば、ますます業績が悪化します。景気の変動を考え以前より内部留保をしっかりしてきた事業所もあります。
また、社長が変わったことをきっかけに財務内容を見直し、借入に頼らない経営をめざしている2代目社長もおられます。このような企業を積極的に応援したいと思います。
3、ITの契約に関しては、分からないからとしてそのままハンコを押すことなく、弁護士や支援機関(ITコーディネータ)に相談されることを勧めます。また、業者選択に関しては、よくその企業を調べておく必要があります。価格が安いから、友人だからといって安易に発注しないことです。
最後に、今年は兎どしです。一人一人が努力し、元気に飛びはねる年にしたいものです。
■執筆者プロフィール
クリッジナリティー 代表 米田 良夫
中小企業診断士、ITコーディネータ、ビジネスコーチ。
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