2010年8月2日の「iPadをあなたのお店で使ってみよう」というコラムで紹介しましたが、最近、iPadを代表とするタブレット端末の売上が伸びています。また、Google社が開発したAndroidOSを搭載した端末がNECやオンキヨー等から発売され始めています。
米Gartnerの調査(2010年10月15日発表)によると、世界でのタブレット端末の販売台数は、2010年に1950万台、2011年には5480万台、4年後の2014年には2億800万台に達する見込みといわれています。
タブレット端末は起動が速く、複数の指で画面に触れて操作するため、パソコンより直感的に使用できます。最近では無料・有料のアプリケーションが豊富で、音楽や動画、電子書籍の閲覧端末として広がりを見せています。
また、無線LANを標準搭載しているほか、携帯電話網を利用し、いつでもどこでもデータ通信が可能という特徴を持っています。
このタブレット端末を使えば、ブラウザーを使った検索やメールの受送信、文書の閲覧などに利用できます。どこでも素早くメール受送信ができるので顧客対応が迅速にできると期待されています。
もちろんメールの受送信や文書の閲覧等は、ノートパソコンが秀でているという意見もあります。しかしタブレット端末は、話題性があり、提案書や価格表を見せつつ容易な操作ができるため、顧客への営業ツールとして有効利用されています。
ただし、タブレット端末に提案書や価格表を保存した場合、紛失時の情報漏洩は、注意すべき点です。
これに対しては、タブレット端末とクラウドサービスと組み合わせるとよいでしょう。パソコンで作成した提案書や価格表などは、クラウドサービスを利用して文書を保存します。このクラウドサービスからタブレット端末等に表示すれば、文書をタブレット端末に保存することなく、紛失しても情報漏洩の危険性が低下します。
具体的なサービス例は、DropBoxやSugarSyncといったサービスが使えます。これらは、パソコン上に設定したフォルダーに文書等を保存すると自動的にクラウド上に同期保存されます。タブレット端末では、このサービスにログインするだけで文書を表示できます。
この他のサービスには、リコーやシャープ等がデジタル複合機とクラウドサービスを連携させ、場所にとらわれないユビキタスオフィスを構築しようとしています。これらは、デジタル複合機でスキャンした文書などをクラウド上に保存しパソコンやタブレット端末などでデータを表示したり印刷するというサービスです。
中小企業がクラウドサービスを使うメリットは、いくつもありますが、このようなセキュリティー面を確保しつつ機動性を高めるユビキタスオフィスという考え方は、経営資源の少ない中小企業に有効ではないでしょうか。
参考文献
https://www.itc-kyoto.jp/itc/index0422.html
■執筆者プロフィール
山口 透(とおる) toruy55@nifty.com
流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、
DWHの構築支援などを行っている。ITコーディネータ、システムアナリスト