ビジネスの現場で、コミュニケーションの手段はどのように使い分けされていますかというご質問をいただきます。
十数年以上前は、ほとんどがface to faceや固定電話での会話、FAX、手紙やはがきなどの文書によるコミュニケーションでした。しかし、パソコンや携帯電話の普及に伴い、電子メールがその比率を増し、最近ではtwitterやFacebook等、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)によるコミュニケーションもかなり増加しているように思います。
コミュニケーション手段の選択肢が増えた分、特に新しいプロジェクトのスタート時や、仕事上、何らかの行き違いが生じたとき等に、冒頭のような悩みが出てくるようです。
コミュニケーション手段の発達は私たちに利便性をもたらしますが、その半面、様々な場面が存在し、使い方を誤ると思わぬ事態を引き起こしてしまったり、関係を悪化させてしまったりする場合があるようです。
そのため、場面によって、対面での会話、電話、電子メール、SNSなどの手段を使い分ける事が非常に重要になってきます。
一昔前は関係がこじれても通信手段が電話しかない為に、やむを得ず会話をしていたように思います。
こういう時ほど腹を割って対面で生の会話をするべきであると思うのですが、電子メールが登場してからは、言いにくいことは会話を避けメールに頼る傾向が見受けられます。
例えば、やり取りの行き違いが出てきたとき、相手から来た過去のメールを引用して、「あなたは何月何日にこのように書いていますが・・・」などと送ってしまうのです。
もちろん、受けた側が「あっ、そうか、私が忘れていた」と納得すればなんの問題もありませんが、事務的に「あなたは何月何日に・・・」と書かれると受けた方はあまり気持ちの良いものではありません。
これでは関係をさらに悪化させてしまうでしょう。
これは、ほんの一例ですがこのようなことを避け、コミュニケーション手段を有効に活用するために通信手段の特徴を考慮して次の基準で手段を選ぶのも一つの方法かと存じます。
私はビジネスの場面では、次のようなことに配慮をするように心がけています。
◆親密度(相手との関係)
この情報を伝える相手はだれか。
通信相手との人間関係(親密度)により手段を使い分けます。
例えば、親密度が低い場合は、緊急でない限り、極力携帯電話は差し控えます。
◆重要度(内容)
この情報の内容の重要度はどれくらいか。
例えば、重要度が高い場合は、電子メールを利用する場合でも、送信する旨を電話で相手方に伝えることにより誤解が生じることを防ぎます。
◆緊急度(時間)
この情報は、いつまでに伝える必要があるのか。
例えば緊急度が高い場合は、親密度が高くなくても携帯電話へ連絡することも必要です。
以上の他にも「この情報を伝える範囲はどれだけか」「履歴を残す必要性があるのか、残さない方がよいのか」等も考えます。
そして、忘れてはならないのが通信時間帯です。緊急度の高いものでない限り、深夜、早朝の携帯電話、携帯メールは差し控えるべきでしょう。
逆に電子メールは、比較的時間帯を気にせず利用することができます。
twitterやFacebookなどのSNSを利用することで、時間帯を気にせず、また、幅広い範囲の相手とコミュニケーションを図ることができます。
ここ十数年の間にITを利用したコミュニケーション手段の発達は、目覚ましいものがあります。この先も、より便利で有効なツールが登場することと思われます。それぞれのツールの特徴や強みを理解し、効果的に利用することがビジネスを成功に導く要因の一つになるでしょう。
「親しき仲にも礼儀あり」といわれるようにこれらのツールの選択に際し、送信先への配慮を心がけることで、その情報は受け手にとってさらに素晴らしいものになるものと思われます。
■執筆者プロフィール
小林由香(Kobayashi Yuka)
小林税理士事務所 所長
税理士、ITコーディネータ、ファイナンシャルプランナー
「お客様の発展のため、最大限の努力をいたします。」が信条。