気にしておきたいインターネットビジネスを行う上での知的財産権の知識/松山 考志

 スマートフォンや電子書籍の普及により、スマートフォン向けの販売サイトを
製作する際に著作権はどのように考えればよいのか、また自分で電子書籍用に書
籍をスキャンした場合に著作権の問題はないのかなど、話題に上がることがあり
ましたので、インターネットビジネスを行う上での著作権を含めた知的財産権の
知識を整理してみたいと思います。まず本題に入る前に、スマートフォンや電子
書籍がどのような状況になっているか確認してみたいと思います。

 スマートフォンは今年に入り販売が激増し、携帯各社の業績もスマートフォン
により明暗が分かれるような結果となっています。今年6月にはスマートフォン
の販売が携帯電話の月間販売台数の5割(52.9%)を超えました。このスマート
フォンの普及により、従来のネット販売は、PCからのアクセスからスマートフォ
ンにシフトしてきおてり、ビジネス上は販売、広告、情報発信等においてスマー
トフォン対応を意識しておく必要があるかと思います。
 昨年、話題となった電子書籍については、米出版社協会(AAP)の2010年の米
国での書籍売上高によると、 電子書籍は前年の約2.6倍の4億4130万ドル(約370
億円)となり、教科書などを除く一般書籍全体におけるシェアが8.3%に達しま
した。教科書などを含めると、116億7千万ドル(9,785億円)となっています。
販売増の要因は、米アマゾン・コムの「キンドル」など電子書籍の専用端末の普
及、米アップルや米グーグルが携帯端末向けに電子書籍販売を開始したことだと
いわれています。一方、日本国内は、2009年度の国内電子市場規模(矢野総研調
べ)は前年度比で119.6%の610億、2010年は670億円(予想)です。日本の電子
書籍は携帯電話向けのコンテンツが大半で、電子書籍端末の普及により今後の伸
びが期待されています。

 本題に入りますが、インターネットビジネスにおける知的財産権の知識として、
WebコンテンツとWeb上の広告、知的財産権との関係について確認します。
 インターネットビジネスで関係する知的財産権・法律としては、著作権、肖像
権、商標権、不正競争防止法の大きく4つがあります。自社のWebのコンテンツ
素材には著作権はないが商標権や肖像権があるケースや、また不正競争防止法で
保護される対象であるケースなど様々です。例えば、公共施設やお店等の建築物
は著作物ではありませんが、自社のホームページのメインビジュアル素材に使用
すると、不正競争防止上の「他人の名声へのフリーライド」でクレームが付けら
れる可能性があります。ホームページの名称、社名も商標権を侵害するケースが
あります。ホームページではありませんが、人気商品「堂島ロール」を製造する
「モンシュシュ」(大阪市)の社名が同名のチョコレートの商標権を侵害してい
るとして、神戸市の老舗「ゴンチャロフ製菓」が社名使用差し止めなどを求めた
訴訟の判決(現在も係争中)が記憶に新しいところです。

 ホームページは、様々な素材を集め、どう配列するかについて創作性があるも
のは編集著作物として著作権ありとみなされる可能性があります。検索機能のあ
るサイトは「データベースの著作物」とみなされる可能性があります。ちなみに、
ホームページ自体はプログラムとしての著作物として保護されるケースはほとん
どないと考えられています。素材で注意すべきものは、通行人、群集など一般人、
風景・街並、屋内のポスター・カレンダーは肖像権、キャラクター品、屋内の絵
画・美術品・ファッションなどの書籍は著作権、バック・時計・万年筆などのブ
ランド品、著名なロゴ・シンボルマークは不正競争防止法などが対象となります。

 インターネット特有の問題として、(1)他人のホームページの引用、(2)
送信可能化権があります。(1)他人のホームページの引用については、電子媒
体の特性で他人のホームページ内容をコピーすることはいとも簡単で、このよう
なホームページは無数に存在します。この行為自体は著作権侵害となり、民事上
の損害賠償、刑事上の刑事罰(著作権法119条)の対象となります。一方で、著
作権法32条は他のホームページの内容を自己のページに掲載することを引用とし
て認めています。判例では、「1.引用する必然性があること、2.自己の著作物と
引用部分が明確に区別されていること、3.自分の著作物が主であり、引用著作物
が従であることが明確であること、4.出所が明示されていること」(弁護士河原
崎法律事務所ホームページより引用)が条件です。(2)送信可能化権について
は、ユーザーに情報が届く段階より前の段階、すなわち著作物がサーバにアップ
ロードされた時点で直ちに著作権侵害となる点に注意が必要です。

(参考文献)
・「広告の著作権」実用ハンドブック 志村 潔 太田出版
・警視庁ホームページ
・弁護士河原崎法律事務所ホームページ


■執筆者プロフィール

松山 考志
宅地建物取引主任者
セキュリティパッケージソフトウェア開発会社勤務。
東京で中小企業の経営支援のお手伝いをさせて頂いています。

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