今期も半分が過ぎようとしています。そこで、前半を振り返ってみたいと思います。
景気が回復傾向にあったが、3月の東北の地震の影響が大きく響いている。以下、それをまとめてみました。
1、原材料の入荷ができなかった。または、予定が遅れた。
一番多かったのが、原材料の入荷が出来なかったことである。印刷業では、原紙が入ってこず、受注分を処理できなかった。建築関係では、合板やバス、炊事関係の部品などが入荷せず、リフォームや新築工事がストップした。金物 卸売業では、一部入荷しないものがあったので、代用品(輸入品)で賄ったが、 品質は悪かった。スクラップ業者では、震災を受けた工場から入荷しないだけでなく、被爆のことも影響した。
2、原材料の値上がりと値引きを要求された。
原材料の不足と震災地での優先で値上がりした。また、震災関連だからと値引きを要求する取引先もあった。
3、売掛金の回収遅れが心配である
取引先を通じて東日本のエンドユーザーに納めている。ユーザーが影響を受けており、今までの売上の回収ができるのか、また、受取手形が期日に決済されるのかどうか心配である。
4、デパートなどの販売会が中止になった。
ファッション関係では、東京のデパートでの販売会が中止となり、大きな販売機会を失した。
5、外国の大使館が大阪へ移転してきた。
鉱物を輸入している輸入国の大使館が東京から大阪に移ってきた。今後はより親密な関係を築けると思う。
6、自社に影響はなかったが、取引先に影響があった。
自社自身では影響がなかったが、取引先に影響があり、今後の受注に影響するのではないか。また、関東での下請け工場は被害がなかったが、今でも、余震が続いている状態である。
7、自粛ムードにより、取引先が設備投資を控えた。
得意先が社会の自粛ムードから、設備投資を控えており、予定作業が先延ばしになったり、中止になった。
8、得意先が廃業した。製品も出荷できない。
仙台に得意先があり、1社が廃業した。東北地方へ販売している関東の配送センターが被害を受け、納めていた商品が傷つき返品されてきている。それを検品して不良になったものを修理して再納入している。取引先はこの分は引き取ってくれるのだが。卒業記念で作った分が出荷できない状態である。他に転売できず影響がでている。
9、外国への輸出で証明を出したい。
工具を輸出しているが、輸出国で被爆を心配しており、非被曝証明をとることで顧客に安心感を与えたい。
10、東日本でできない仕事が入ってきている。
ある部品加工業では、東日本の工場が被害にあい、仕事が回ってきており、大変忙しい。また、別の工場では、最終納入先が原子力発電に関係しており、受注キャンセルはあったものの、補強等のための特急品の仕事が入り、現場は混乱が続いた。
関東地方のお寺が地震の影響で、仏像等に損傷をきたしたため、その補修で仕事が追いつかない状態の事業所もあった。
以上をみてみると、全く影響がなかったところが25%で、悪い影響があったところが67%あり、ほんの一部の事業所(8%)のみ仕事が忙しくなっている。
現在、少しずつ回復傾向にあるが、昨年までの不景気にこの震災の影響で、中小零細企業は業績が悪化している。国は株安や円高対策を早急に行い、景気の回復を図ることが重要であり、中小零細企業も積極的な努力が必要となる。
■執筆者プロフィール
クリッジナリティー 代表 米田 良夫
中小企業診断士、ITコーディネータ、ビジネスコーチ。
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