本稿を執筆開始したのは,ハロウィンの日でした。
この数年,ハロウィンは日本でも定着しつつあるみたいで,私のクローンのようなカボチャのお化け(ジャック・オー・ランタン)を,ところどころで見かけます。これは,恐らく映画の「E.T.」がきっかけになっているのではと,思ったりします。
もともと,ハロウィンはケルト族の万聖節(All Hallows)の前夜祭(eve)なのらしいのですが,この万聖節は先祖の霊が家族を訪ねたりするそうですので,日本で言えば「お盆」に相当するのかも知れません。ちなみに,ジャック・オー・ランタンがカボチャになったのは新大陸に渡ってからで,もともとは蕪で作られたそうです。また,クリスマスでもそうですが,キリスト教系では前夜から色々な行事が行われるのは,昔の一日の始まりが前日の日没からだったことが影響しているのだと思います。まあ,これは本筋とは関係ありません。
■ハロウィンのパレード
昔の話ですが,私は東京の表参道で10年近く仕事をしていました。その頃,外人の子供たちがハロウィンのパレードをやっているのに出くわして,とても可愛かったのを覚えています。ちょうど,映画のE.T.が公開された頃だったと思います。この映画は,女性と見に行った記憶がありますが・・・そう言えば,E.T.の数年後に公開された「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の第一話は,女性と見に行って,第二話は友人と見に行って,第三話は一人でビデオで見ました・・・私の人生は,あの頃から下り坂かも知れませんが・・・これも,本筋とは関係ありません。
■原色の文化と中間色の文化
ハロウィンのパレードに話を戻しますが,そのパレードで印象に残っているのは,非常にカラフルだったということです。着ている仮想の服は原色が多いですし,髪の色や肌の色もとりどりで,表情も悪戯に目を輝かせている子供から,むっつりして「こんな子供の遊びには付き合えねえぜ」というものまで,いろいろでした。
記憶に残っているのは,やたら嬉しそうな五つくらいの黒人の子供が,女の子の髪にキャンディを付けたり,ベタベタの手で大人のズボンを汚したり悪戯をしていることでした。この子,大きくなったら関西で言う「ヤンキー」になるでと思いましたが,考えてみれば,もともとヤンキーでした。
また話を戻しますが,その時に思ったのは,このカラフルさは表参道の風景に似合うなということです。日本は,どちらかというと彩度の低い中間色の文化だと思いますが,案外,京都の犬矢来の町並みにも合うかも知れません。祇園とかの落ち着いた街並みに,舞妓さんの華やかな和服も似合います。
■グローバル化とダイバーシティ経営
今はグローバル化の時代ということで,日本で働く外国人の方も多いです。私も今まで,ブラジル,米国,中国,韓国,インドの人と仕事をしたことがあります。アメリカで開発しているシステムのテストを,時差を利用してインドで行って,翌朝にはテスト結果が届いているような開発事例も知っています。
また,海外に販売や生産の拠点を開拓する企業も多くあります。
今度のタイの洪水で,日本国内の生産が止まるなど,グローバル調達と,JITの組合せの弱点がさらけ出された感もありますが,やはり現地生産・現地販売の流れは今後も続いていくと思います。
日系ブラジル人と仕事をしたときに思いましたが,外見は私と区別が付きませんが,メンタリティは大分違います。どの国の人でも,日本でソフトウェアの仕事をしている人は全般に能力は高いです。一時期のITバブルの時代に採用された日本人と比べると雲泥の差がありますが,私たちが普通に持っている「ストイック」な考えはあまり無いように思います。また,家族を大事にするのは,私たちの比ではありません。
このことを「だから外人は・・・」と思ったり,日本のやり方を無理に押し付けるのではなく,文化(動物行動学でいうミーム)の違いと考えて,良いところを受け入れ,ダイバーシティ(多様性)を認める姿勢が必要だと思います。
日本人と同じように毎日残業をしないのは,上司が帰るまで帰らないという無駄な残業をしないからかも知れません。アウトプットが明確な仕事であれば,作業時間ではなく,成果で評価するべきかも知れません。
ダイバーシティを認めることで,次にはその「多様性」を活用したマネジメントができるようになります。
国内だけでも,女性の意見を上手く取り入れることで,業績を伸ばしている会社もあります。これも一つのダイバーシティ・マネジメントだと思います。
ただし,単に多様性を認めるだけで,組織としての強みを発揮できるわけではないのも事実だと思います。ろくに挨拶もしない新入社員を「これも多様性か」と放置しても,挨拶をしない人は報告もしませんから,組織は弱体化します。
ビジネスとして,やるべきことの多くは万国共通です。
組織のコア・コンピタンスを明確にし,その組織の強みを生かす多様性を見極めて,活用するのが大事だと思います。
■執筆者プロフィール
上原 守 harvey.lovell@gmail.com
ITC,CISA,CISM
エンドユーザ,ユーザのシステム部門,ソフトハウスでの経験を活かして,上流から下流まで,幅広いソリューションが提供できることを目指しています。