ソフトウェア開発においても品質マネジメントシステム(ISO9001:2008)の導入により、プロセスの改善に取り組んでいます。品質マネジメントシステムの要求事項の一つに「測定、分析および改善」のモニタリングおよび測定に関して、顧客満足情報をモニタリングすることがあげられています。
これは品質マネジメントシステムの成果の測定のひとつとして、組織が顧客の要求事項を充たしているかどうかを、顧客がどのように受け止めているかの情報を組織がモニタリングし、この情報を取得したり使用したりする手段が定められています。
IT業界においても開発したシステムや保守・運用での役務提供サービスについて、顧客満足情報を入手して、作業のプロセス改善に生かすため顧客満足アンケートの実施をおこない、改善に結びつける活動を行っています。
収集については、営業担当者が直接、顧客にヒアリングする場合や、顧客満足情報収集部門からのアンケート用紙への記入依頼、Web形式でのアンケート入力などがあります。
例えば、アンケートの評価項目としては、以下のようなものがあげられます。
(1)開発したシステムについて
・ユーザビリティ
・保守性
・信頼性
・機能充足度
・拡張性
(2)ドキュメントについて
・ドキュメントの構成
・文章の記述レベル
・見やすさ(レイアウト、図表、索引・用語解説)
(3)スケジュール・納期について
・納期の遵守
・遅れの場合の対応
・進捗状況報告
(4)技術レベルについて
・担当SEの技術レベル
・仕様に対しての提案/提言
(5)コミュニケーション能力について
・記録の作成(議事録など)
・仕様の確認
・対応の柔軟性
・意思疎通
(6)運用メンテナンスについて
・問合せ対応
・問題発生時の対応
(7)コストパフォーマンスについて
・業務効率の向上
・投資効果
上記の各評価項目について、4段階程度の尺度(例えば、期待よりかなり満足>期待通り>期待よりやや不満>期待よりかなり不満)で、設定するように作られています。
上記アンケート結果の分析に際しては、ユーザ企業、ベンダー企業別や、部門別(直接部門、間接部門、研究開発部門等)に分類してみて、どの項目に重要度があるのかを分析してみたりします。また、評価項目の相関について、統計手法を用いて確認し、顧客満足が複数の評価項目によってきまる場合があること気づいたりします。
このような分類をするには、EXCELを活用して、アンケート結果を入力すると自動的に評価結果が得られる仕組みを作ることも可能です。システム化をより進めるなら、顧客からの要望/クレームについてどのような対応を実施したかについて、グループウェアの仕組みを活用して直接担当している部門のラインや品質管理部門が確認できる仕組みを構築している事例もあります。
課題としては、顧客ごとに構築しているシステムは一品一様で相違があり、単純に他のシステム開発の改善結びつけられない点があり、組織全体のプロセス改善に有効に活用できていないのが、品質管理部門を担当している私の悩みの種となっております。
■執筆者プロフィール
西田 則夫(Nishida Norio)
情報処理プロジェクトマネジャー、ITコーディネータ
マネジメントの経験を顧客満足の向上に役立てたいと思います。
Norio.Nishida@csk.com