中小企業こそビジネス・インテリジェンス(BI)を導入せよ!~ Excelによる経営の可視化を目指す ~/角倉 悟郎

○ 中小企業に高価なERPはいらない

 "健全"かつ"良質"な経営を実現するには、組織の進むべき方向を明確に設定し
組織に浸透させ、経営目標がどの程度達成できたのかを定期的・定量的に評価し
事業環境の変化に応じて経営戦略を見直す必要があります。
 これまでERPによってこれが実現できるとされていましたが、「より安く、よ
り迅速に」が企業のIT投資の重要なテーマとなっている現在、大企業でも高価な
ERPの避け、特化した特殊な機能を持つ個別アプリケーションを組み合わせて導
入する企業が増えつつあります。また、Web技術の進歩によって、複雑なインタ
ーフェースなしにアプリケーションの連携プロセスを容易かつ低コストで実現で
きるようになってきました。
 しかし、それでも多くの中小企業は、資金がない、人材がいない、知識がない
などの理由で、IT投資は進んでいません。中小企業には、高価で複雑なERPのよ
うなシステムよりも、安価で柔軟かつ軽いシステムが求められているのです。

○ BIの導入は中小企業の方が容易

 経営戦略を、実行に移し、経営の意思決定プロセスとリンクさせることは、現
在、経営陣にとって最大の課題です。業績を全社規模で管理/モニタリングし、
早い段階で異常や問題を発見し、対策を講ずるしくみが必要となります。
 これにはBIを導入することが有効です。BIとは、分類/分析/加工した企業内
外のデータをビジネス上の意思決定に生かす仕組みです。BIは、企業内に散在す
る情報を経営活動における意思決定と連携させる有効な手段となります。BIによ
って、企業は自社の業績を自ら設定した指標に照らし合わせながら測定、評価す
ることが可能になります。そして、BIシステムは、ITの力を直接的に収益につな
げることができるという点で、きわめて魅力的な技術だと言えます。
 また、シックスシグマの欠陥解析手法や、バランス・スコアカードによる財務
業績評価手法、顧客傾向分析手法、社内教育の評価アプローチなど、すでに社内
で利用している分析評価手法をBIに応用することもでき、これまでの蓄えた知財
の有効活用が可能となります。
 大企業ではBIを行うために、膨大なデータの収集、分析が求められERPのよう
な大規模なシステムが必要となります。しかも、その規模の大きさゆえに各部門
のデータと分析結果は、その部門の業績を伸ばすための限定的な資産としてしか
利用されておらず、企業全体の資産として有効に活用されていない企業がほとん
どといわれています。これにくらべ中小企業は、そのような大規模なシステムの
必要がなく、データと分析結果は企業全体の資産として有効に活用すること、す
なわちBIの導入が容易なのです。

○ 中小企業のBIはExcelで十分!

 ほとんどの企業では、業績管理に必要なデータは、個々人のExcelスプレッド
シートの中に埋もれています。大企業でも、依然としてスプレッドシートを手作
業で更新し、KPIの作成や管理にかなりの手間をかけている企業も少なくありま
せん。
 しかし、中小企業のBIは、単純なデータによる簡易な分析を月次で行うだけで
十分なケースが多いのです。月次データであれば、収集の手間もさほどではなく
Excelで難なく処理できます。また、企業の業績は、10~20項目だけをチェック
すれば済むようにすべきで、これを管理するにはExcelで十分といえます。
 経営管理をするためのBIの機能は、収益予測シミュレーションや、中期経営計
画(5カ年計画)、予算実績管理、原価管理などが上げられますが、これらはす
べてExcelで実現できます。その気になれば、詳しい情報を入手し、実際原価や
顧客別採算まで把握することもできます。

○ ExcelベースのBIは教育ツールにもなる

 BIは反復的なプロセスであり、検証を繰り返すことによって、徐々に効果を高
めていけます。Excelであればだれでも容易に仕様変更ができることから、試行
錯誤でデータ収集、分析が可能となり、導入期間の限られた高度なシステムを導
入するのとは違い、時間をかけて学習しながら構築できます。
 中小企業の社員は、ITリテラシーや情報リテラシーが低いことが多く、高機能
なシステムや、高度な分析は、社員教育だけでも負担が大きいため、簡易的な導
入からはじめ、リテラシーの向上とともに高度なシステムへと段階的に移行する
方法を採ることができます。


■執筆者プロフィール

  角倉 悟郎 (すみのくら ごろう)

  ITコーディネータ

  suminokuragoro@ybb.ne.jp

 

 

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