企業経営の活性化と経営手法を考える/玉垣 勲

☆明るさは?

 先頃発表された日銀短観(企業短期経済観測)によると、企業レベルの景況感は改善の方向、先行き微かに明るさが見えてきた、といいます。過去の景気回復のパターンは、先ず中小企業の業況回復が先行するのが「常識」でしたが、今回の改善、回復は大企業の製造業のみと限定的になっています。しかし、長いトンネルの先にようやく一抹の光明を見出せたものと前向きに受止めたいと思います。
 日経平均株価も4月の7,600円台を大底に急ピッチで上げ、10,000円台を固め、長期間下げ一方の市況から上昇トレンドへの転換を伺わせます。株価は、景気の6~9ヶ月先を見通すとされますが、このトレンドの持続で、いまだきびしい状況下にある中小企業の速やかな業況改善に期待したいものです。

☆マニフェストを競う

 衆院選挙たけなわ、当面は政治の季節です。今度の選挙戦には「マニフェスト」(政権公約)が大きくクローズアップされています。これまでの公約と違って、各政党は選挙公約に、政策目標実現の期限、そのプロセス、数値目標などを明らかにして、その政策で国民の信を問うものです。スローガンの域を出なかったこれまでの選挙戦とは様相を異にしています。日本の経済社会の構造変動期、政治風土、「政治手法」も新しい展開を見せてきました。
 「経済の下部構造が政治、文化など上部構造を規定する(カール・マルクス)」は、今の時代も厳然と生きていますが、「政経不分離」、政治と経済・企業経営は密接な関係にもあり、選挙戦を注視し、選挙では自らの意思をしっかり表明したいですね。

☆常識は

 かつてのもの不足(供給<需要)の恒常的なインフレの時代から、もの余りのデフレないしディスインフレ時代(供給>需要)の経済の構造変革期にあって、企業経営は、生き残りをかけてのリストラクチャリング(経営資源の再構築)に懸命に取組中です。
 とくにIT革命の進展のなか、企業経営はいま激変する環境変化へのスピーディな対応力が問われています。過去の成功体験などの「常識」が通用しなくなったいま、新しい時代の「経営手法」を学び、果敢に実践する企業も増えてきました。

☆バランス・スコアーカード

 その有力な手法の一つに「バランス・スコアーカード(以下BSC)」があります。BSCは一言で言いますと、「ビジョンと戦略を明確にし、それが経営各部門、およびそこに働く個人一人一人の目標と整合性をもち、組織全員のチームワークで、所期のビジョンと戦略を実現するためのアクションプランであり、マネジメントシステム」です。
 この経営手法がいま注目されている理由を私流に解釈しますと、トップダウン(個ないしリーダーシップ重視)の欧米系の経営とボトムアップ(チームや「和」の重視)の日本的経営手法が融合された新しい時代の戦略システムであるのではないかと考えています。

☆中小企業経営活性化に

 また、この手法は、リーダーシップの浸透度、社員間の目標共有化の濃密さにおいて、優れた中小企業向け経営手法と言えます。
 不透明、不連続の時代の経営戦略づくりに、このBSCを学び、実践の一助とすることにより、自社の独自性や強みをよりいっそう発揮し、競合他社との市場優位性を確かなものにするのも一考です。
 BSCに関しては、一読に値する書(「バランス・スコアカードの構築」吉川武男著、生産性出版、1700円)がありますが、「バランス・スコアーカード(BSC)」に関するあらゆるご相談は、ITコーディネータないし「ITC京都」にお問合わせ、ご相談下さい。


■執筆者プロフィール

玉垣  勲
ITコーディネータ、中小企業診断士、社会保険労務士
ファイナンシャル・プランナー(FP)、宅建主任、通訳ガイド62歳(血液型・A型)星座・天秤座)
サラリーマン35年(信用金庫)後、自営へ転進、人生後半が人生本番とはりきっています。
会社員時代の職務経験・人脈、過去に取得の資格を生かして、地域社会、地元企業、ご家庭のIT化に尽力します。
http://kigaru.gaiax.com/home/isa3915963