ITは成果(売上・利益)をあげて”なんぼ”の価値/恩村 政雄

 企業活動において「資金管理」はお金の流れの管理だけに止まらず、経営管理
の一環として「経理システム(経(営管)理)」に集大成され、企業活動の隅々
にまで行き亘り、整然と統制され、実践されている。 
 情報は、「情報を制する者は勝利をもたらす」と歴史が証明しているが、中小
企業においては、情報の重要性の認識・実践は資金の重要性の認識・実践に後れ
をとっている様子がうかがわれる。

 2001年、関経連等の経済団体は、近畿地区の中小企業のIT導入は進んではいる
が、その活用度は事務改善等の内向き処理等が中心で、戦略に結びついた活用状
況が今一つの状況に危機感を抱き、関係団体にも働きかけ「ITを上手に使って成
果(売上・利益)を上げている」中小企業の取組みを公表し普及・啓蒙を図る。そ
の仕組みとして、11年前に「関西IT百撰」の組織を立上げ、情報の重要性意識の
向上啓蒙に取組む。
 数年後、関経連をはじめ経済団体は、所期成果を得たと判断し手を引いたが、
関西IT百撰が推進している情報活用の啓蒙活動に共感した民間企業有志がその活
動を下支えし、今日に至っている。

 民間企業有志が運営支援に肩入れしている関西IT百撰の活動とは、
(1)自社のIT活用状況を第3者の目で評価
  関西IT百撰は、関西の中小企業を盛り立てたいのアイデンティティから始
  まり昨年度(2011年)で11年目。
  多数の応募企業に対するアプローチは、有識者がボランティアで1社1社訪問
  し、ヒヤリングし、その中から他社の範になると評価され選ばれた優秀企業
  の表彰式・発表会(フォーラム)が、3月6日(火)大阪国際会議場内の3会議室
  を使って同時開催された。 
  他社の範となる優秀企業の取組み内容をみると、
  ・優れた戦略で中小企業でも成功を得ている事例、
  ・ITは道具、されどその道具をトップのリーダーシップで生かして儲かった
   事例、
  ・中小企業だからITを使いこなして目からうろこの経営力UPの事例、の3分
   類に大別される。
  3月6日(火)当日は、経営者・幹部・情報部門担当者等の企業関係者だけでな
  く、情報システム企業のSEの参加も数多く見受けられ、優秀企業経営者に
  よる事例発表に耳をそばだて、スライドを凝視していた。

  さらに、関西IT百撰の活動が素晴らしいことは、このフォーラムによる啓蒙
  を一過性で終わらせず、企業同士がさらなるITの活用で自社経営力向上の気
  づきを目指して、優秀企業の自主的発案で「関西IT百撰の会」を結成し、歴
  年の優秀企業による交流会や企業見学会を実施し、企業活動におけるITの取
  り込みと定着化、錬度化手法の気づきを得る活動を積極的に行なっているこ
  とである。

(2)評価視点は、経営は戦略、ITはその戦略の価値を高める必須道具
  有識者等の第3者による「他社の範になる」と評価する審査視点は、当初の頃
  はITシステムの構築状況、データの加工・活用状況等、情報システムを主体
  に審査評価していた。
  しかし、今日ではどんな企業でもパソコンの1台や2台は利用されているとい
  う実態から、評価ポイントを”ITがどのように経営に貢献しているのか”と
  いう評価視点にシフトしてきている。

  具体的な評価視点とは、
  (ITに関する視点)
  ・経営戦略とIT戦略との融合…経営とITのつながり、経営層の意識等
  ・可視化による業務改革の推進…全体最適、組織・プロセスの可視化等
  ・IT活用でビジネス領域の拡大…新ビジネスモデル創出、領域の拡大等
  ・標準化された安定的なIT基盤…設計・構築ポリシー、リテラシー等
  ・ITマネジメント体制の確立…経営層のIT戦略参画、開発・運用管理等
  ・IT投資評価…IT投資評価基準、効果・リスク等の課題の重要度評価等
  ・IT人材の育成…情報活用のスキル・システムに関する研修等
  ・ITに起因するリスクへの対応…情報セキュリティ、内部統制等
  (企業経営全般に関する視点)
  ・組織・ブランド力…組織・商品・企業イメージ向上等のブランド対策
  ・リーダーシップ力…経営層のリーダーシップ、人材育成の取組み等
  上記の審査評価の視点に見られるように、情報の付加価値を高め、企業の実
  績への貢献度を評価の柱にして、手段(IT構築)が目的になる愚を避ける評価
  システムとなっている。

(3)ITは成果(売上・利益)をあげて”なんぼ”の価値
  関西IT百撰に入賞したからといって特別なインセンティブはない。あるとす
  れば、自社のIT活用状況を公表することにより競合企業の利を高める負の面
  が生じかねないことである。
  では何故、当事業に発足以来1000社前後の中小企業の応募があり、さらに、
  自社の取組みを発表した優秀企業は100社前後にも及ぶのだろうか。

  その理由を推察すると。
  ・応募企業に訪問ヒヤリングする有識者の多くは、情報システム企業のOBで、
   応募企業への訪問時のヒヤリングにおいて適切なアドバイスがあり、多く
   の気づきが得られる。
  ・有識者による客観的な審査評価だけに、入賞及び優秀と認定された企業は、
   取引先等のステークホルダーからの信頼度が増し、社員のモラールUP、新
   規取引先の増加、採用活動の容易さ等に結びついている。
  ・関西IT百撰の会入会により、志を同じくする企業とのネットワークが拡が
   り、志を同じくする人脈の輪が拡大する。

 以上に紹介した関西IT百撰の活動は「ITは成果(売上・利益)をあげて”なんぼ”
の価値」の一例にしか過ぎない。
 今後とも、ITを経営戦略・戦術、経営課題の対応に向けて使いこなし、情報の
付加価値を高める近道は、お互いの取組みや工夫、ノウハウを忌憚なく開陳でき
る仲間の輪を拡げ、仲間同士が良い意味での競争意識を持って継続的に研究でき
る仕組みを作ることが有効な手段ともなる。
                           (以上)


■執筆者プロフィール

経営革新、創業、フランチャイズ、IT化・利活用、リスクコントロールで
貴社の儲かる体質づくり、強い体制づくりをご支援いたします

O・B・C・C(経営コンサルタンツ)
恩 村 政 雄

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