先日、書籍を共同で執筆する機会がありました。
1名が監修者となり、東京、大阪、沖縄、離れた場所で4名が別々の章を担当して執筆しました。
通常このような場合は、執筆者がMicrosoft Wordで文章を作成して、文書をメールに添付して監修者に送る事が多いようです。
しかし今回は、執筆者は文章を作成した後、ファイル保管をするクラウドサービスに保存し、監修者が校正をしていきました。
この方法は、
・保存場所が1か所になるので、監修者か執筆者のどちらが校正中かといった進捗状況がわかる
・執筆者と校正者のファイルを逐次保存することで、校正状況が蓄積される
・他の執筆者の文章や校正結果をみることで、1冊の本に対する監修者の想いを感じることができる
という利点がありました。
そして無事に1冊の本になりました。
このようなクラウドサービスを使う方法は中小企業の現場に応用できます。
例えば、製造業では指示書や仕様書、図面などの情報を社内で共有して、指示ミスを少なくしたり仕様の確認を関係者で共有することができます。これにより、営業担当者と技術者、生産者などの立場の違うメンバーによる確認を行うことで、作業全体に関わるミスを少なくできます。
また、このような情報を関連会社や顧客と共有することで、ミスを少なくするほかに進捗状況を共有することができます。これらより顧客に対する課題の対応が迅速にでき、顧客の満足も向上するでしょう。
中小企業の場合はフェイストゥフェイスで課題の対応を行うことも重要ですが、遠隔地から対応する場合や、スピード対応を求められた場合にはこのような方法が有効です。
また、ファイル保管をするクラウドサービスを使う方法は、文書のほかに写真の共有が有効です。写真の共有は友人や親戚に配布するといった、個人利用が一般的ですがビジネスでも応用できます。
たとえば、建築業では作業現場の写真をクラウドサービスに保存して営業担当の受注内容に相違がないか確認したり、進捗状況を顧客に見せることができます。
小売業では、店舗外観や陳列棚のレイアウト、商品の並べ方やPOPなどの見せ方をチェーン店内などで共有したり、他店でも有効と考えられる情報を本部から発信することで、売上拡大に貢献できます。
これらのクラウドサービスはのGoogleDriveや、DropBoxなど数多くあります。
有料サービスの他に無料のサービスもあり、試しに使ってみて、利便性の確認や共有手順の確認などを行うことができます。
この他に、リアルタイムに共同作業を行う場合は、パソコンが画面の共有が有効です。パソコン画面の共有は、インターネット電話で有名な skype があります。
文書の共有や電話では説明が難しい文書や図面を、お互いに画面を見ながら話をすることで、作業を進められるという利点があります。簡単な会議や研修にも利用できるため、社内の重要な事項や徹底したい項目を強調して伝達することができます。
ただし、このようなクラウドサービスを利用する場合の注意点は、情報漏えいです。
共有方法を十分に確認し、共有したい情報が意図したメンバーだけで共有されているかなどを、常に確認することが重要です。
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■執筆者プロフィール
山口 透(とおる)
流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、デジタルサイネージの導入支援などを行っている。
ITコーディネータ、システムアナリスト