前回、「日本でいちばん大切にしたい会社」(坂本光司)を紹介しました。今回はそのパート2です。先ず始めに、再度、会社は誰のためにを掲載します。
1.会社は誰のために
会社は経営者や株主のものではありません。従業員やその家族、顧客や地域社会など、その企業に直接かかわるすべての人々のものなのです。
(1)会社経営には、「五人に対する使命と責任がある」。
(a)社員とその家族を幸せにする
(b)外注先・下請企業の社員を幸せにする
(c)顧客を幸せにする
(d)地域社会を幸せにし、活性化させる
(e)自然にうまれる株主の幸せ
上記(a)から(e)番の順序を間違えないことである。正しい判断をしていくには、ブレない正しい視点を持つことが大切です。
(2)企業の社会的使命は、会社を継続させることである。業績や成長は継続のための手段にすぎない。
(3)会社が、私たちの心を打つようなことをやっているかいないか。心に響く会社なのか、社員がやりがいをもって楽しく仕事に取り組める会社のなのかが、重要である。
(4)企業経営に関しての問題の99.9%は、内つまり会社内部にある。
(5)景気は与えられるものではなく、創るものです。お客様が喉から手が出るほどほしい商品を創り、提案すればいい。
(6)今は下請企業でも、30年計画を立て、徐々にその立場から決別する。こんな気概をもたなければなりません。人がやらないもの、できないことをやるのです。オンリーワンの会社をめざすべきだ。
2.日本でいちばん大切にしたい会社
(1).株式会社富士メガネ
松下幸之助と司馬遼太郎が愛したメガネ店。
本社は札幌。現在(2009年)68店舗。
売上高は平成21年81億円。経常利益は4.6憶円。経常利益率約5%。
昭和14年(1939)に樺太豊原市(サハリン)にて創業。
「もっといいメガネを多くのお客様に提供したい、お客様に喜んでもらいたい」
技術向上のための教育と海外視察、ボランタリーチェーンでの情報収集で、オリジナル技術を開発した。
昭和58年、創業45周年記念事業として、海外難民視力支援活動を実施する。
2008年6月までに116,200組のメガネをプレゼントする。
その他、「中国残留日本人孤児メガネ寄贈プロジェクト」や、北海道の盲学校に拡大読書機などを寄贈している。
(2).医療法人鉄蕉会亀田総合病院
最上階13階に霊安室・・「ここが、天国にいちばん近いからです」
「もう一度入院したくなる病院」、患者さんに対する徹底したサービス
千葉県鴨川市。病床数925床。手術室20室。
医師400名、看護師850名。
昭和23年に病院として開院。
昭和60年救急救命センターを開設。民間第1号。
外来数は1日平均2500名~3000名
亀田メディカルセンターの使命
「われわれは、すべての人々の幸福に貢献するために愛の心をもって、常に最高水準の医療を提供し続けることを使命とする。
その最も尊ぶところ:患者さまのためにすべてを優先して貢献すること
その最も尊ぶ財産:職員全員とその間をつなぐ信頼と尊敬
その最も尊ぶ精神:固定概念にとらわれないチャレンジ精神」
カスタマーディライトの追求:期待価値、願望価値、予想外価値
亀田総合病院が行っているサービスの内容
1)エスコートスタッフの配置
2)衣料品・雑貨販売コーナー・・ウィンドショッピングの場を提供
3)総合周産期母子医療センターにカメラを設置・・退院できない赤ちゃんを遠隔地の家族に24時間提供
4)女性専用フロア・・ビュティーサロン、リラクゼーションサロンを併設
「病人は、病気である以外は、一般の人と同じ生活をして然るべきです。患者様のQOLを、可能な限り向上してあげることが重要なのです。」
よい医療は人財から、人財はコストではなく、病院の財産です。
亀田総合病院のモットーは「Always say YES!」、「絶対にNOと言わない」「カスタマーリレーション部」・・地域の診療所や病院との地域医療連携
亀田病院長は、「私がいちばん多くの時間を割いている仕事、いちばん大切と思っている仕事は、医師と看護師をはじめとした、病院スタッフの命と生活を守ることです。」という。
最新医療のための研究施設の充実。
「肉体的健康」、「社会的健康」、「精神的健康」、「魂の健康」に基づき、患者の満足度の向上をスタッフ全員が心がけている。
(3).(株)埼玉種畜牧場「サイボクハム」
昭和21年(1946)9月、埼玉県の狭山丘陵で種乳牛、種豚、種鶏の育
成開業と増殖と主としてスタート。
従業員580名。売上高67億円。
本店は埼玉県日高市。総面積9万平方メートル、楽農ひろば、レストランサイボク、サイボクパークゴルフ場、天然温泉「まきばの湯」、カフェテリアを併設しており、来場者が年間380万人。
取り組み、
1)豚の改良・・海外から輸入し、「サイボクゴールデンポーク」
2)プロの養豚経営者の育成・・自牧場で研修生を受け入れる。1350名超。
「農業のディズニーランド」をめざして、「ライフピア構想」を設定。
その他、特別養護学校の子供たちのため、りんご園も設置している。
どんな産業、どんな業種であれ、強い信念を持って行動し、念ずれば思いは実現する。そして、経営者の企業家精神や血のにじむような努力にいかんに
よって、どんな問題でも乗り越えることができる。
(4).(株)アールエフ
長野県長野市。平成5年(1993)創業。
製品は、マイクロ波応用製品の研究や、内視鏡カメラの開発。特に、ワイヤーのない飲み込める内視鏡カメラ。
歯科医師が使うワイヤレスカメラが世界で85%のシェア。フィルムのいらないレントゲンは被爆も少なく直ぐにモニターで表示される。市場トップシェア。
売上高は平成12年7.2億円(従業員30人)、平成13年9.3億円 (従業員45人)、平成17年36億円(従業員151人)と、創業以来ずっと増収している。
会社のモットーは、「小さな命をもっと救いたい」。つまり、子供の患者さんの体を痛めないで、小さな命を救いたい。
商品名にはかんばってくれた社員の名前をつけている。例、「NAOMI」
ランチミーティングで社長と社員、他部署の社員同士のコミュニケーションを密にしている。
女性管理職が多い。(課長職以上2/3)
将来、医療の大学院大学を設立したいという夢を持っている。
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■執筆者プロフィール
クリッジナリティー 代表 米田 良夫
中小企業診断士、ITコーディネータ、ビジネスコーチ