テレビの今と行くえを考えつつ / 松井 宏次

暦が春を迎え、梅の花の見頃もすぐそこに近づいているようです。紅梅、白
梅のうち、最初に日本に入ってきたのは白梅からだそうです。ちなみに日本の
伝統色で梅に繋がる色名といえば赤みの紅梅色。どちらかといえば、紅梅が人
気を集めてきたのでしょうか。皆様が、梅の花という言葉から連想される色は、
白と赤どちらでしょうか。

 日本でテレビ放送が開始されたのは1953年。2013年は、60周年と
いうことで、この2月にも、テレビがどのように新たな将来を拓くかといった
記念番組が放映されていました。
 一般に、「テレビ」は、衰退の道を辿っているように伝えられます。少なく
とも、コマーシャルも含め「番組」という固定した時間割の仕組みは、岐路に
立っているように見えます。何かと揶揄されているローコスト番組の氾濫に至
っては、幼少の頃をテレビっ子として育った身にとって、さみしいものです。
 将来に向けての動きとして、ニュース、スポーツ、アニメ、ドラマなどに並
んで、双方向番組というジャンルがつくられつつあります。デジタル放送への
移行にともなっての取り組みです。ただ、これまでのところでは、そうした番
組は、生放送中に電話やファクシミリで視聴者とやりとりすることの延長に留
まっているようです。
 今の時点での、視聴者にとってのテレビの価値を上げるための鍵は、双方向
番組のような取り組みでは無いでしょう。デジタル情報通信技術とコンピュー
ティングの進化で、技術において、放送と通信は融合しました。そのいっぽう
で、事業にたずさわる人の心性や文化が、「技術によって変わる」わけではあ
りません。一方向の放送という方法でマスメディアを築き、役割を担ってきた
テレビは、双方向の情報通信という仕組みを手中にしたからといって、それを
ただちに生かせるわけではありません。
 テレビが復活していくとすれば、ひとつには、「臨場感をもって遠くで行わ
れていることを視る」ことや、「視るとも無しに見ているうちに魅きこまれる」
といったTelevisionの原点の強みに立ち戻ったところから、それに見合った規
模とスタイルで、あらためて立ち上がってくるのでしょう。そして、もうひと
つの原点は、「判断の基準にできる情報源」としての役割。発信源としての高
い信頼。これまでにおいても、マスメディアの生命線だったはずのことそのも
のです。

 テレビの現在と将来の課題に考えを巡らせていると、私達が、ビジネスにお
いて、変化や進展が著しいメディアに関わったり利用したりするときの課題と
も繋がる面があることにも思い当たります。

 WEB2.0という言葉が使われて、インターネットの双方向性、参加性へ
の着目が言われたのは、2005年から2006年頃のこと。近年では、
TwitterやFacebookなど、いわゆるソーシャルメディアへの、注目と期待が盛
んです。技術の飛躍的な発展のおかげで、ソーシャルメディアのためのプラッ
トフォームないしインフラは、きわめてローコストで、充実した仕組みとして
手に入ります。
 しかし、その仕組みを使うことで、自社や、そこではたらく人の動きかたや
考えかたが、自ずと変わるわけではありません。人は技術で変わるものではあ
りませんし、また、もともと、情報やコミュニケーションに関わる技術は、そ
れを使ったからといって、簡単に、本来の有効な変化に繋がるものでもありま
せん。あらたなメディアの利用においても、自社自身が変わるべきことと、伸
ばすべきことを、あらためて押さえることが不可欠です。
 ソーシャルメディアの活用で成果をあげる事業者をよく観察すれば、お客様
の要求を引き出す力、要望への応え方を提示する力を持っていることがわかる
はずです。双方向の情報のやりとりそのものであれ、情報のやりとりで為され
るネット上のブランド感の醸成であれ、そのためのソーシャルなふるまいにか
なう行動や、情報の発信ができています。ソーシャルメディア活用の以前に、
自社の良質なウェブサイトや、実店舗、実工場なども持っています。
 ソーシャルメディアの活用に取り組む企業が、そのことで事業を伸ばしてい
るとすれば、それは、その取り組みをきっかけに、自社の本来の力を伸長させ
ているからです。ブームの風が吹くなか、自社本来の力の原点、伸ばすべき方
向を今一度見立て直すことで、ソーシャルメディアを意識するあまりに、取り
組みの優先順位や比重を間違えることなど無いようにすることが、求められて
います。

 ..(参考).....................

  2012年に公益財団法人新聞通信調査会が発表した「メディアに
 関する全国世論調査」によれば、メディアの信頼度において、他の
 メディアに比べて、情報源としてNHKテレビが高い信頼度を得て
 いると報告された。
 また、情報源としての欠かせなさや、役立ち具合については、一定
 の評価をテレビは得ているが、世代差が、大きいとされている。

 http://www.chosakai.gr.jp/notification/pdf/report5.pdf

 平成23年版 情報通信白書では、
 ・テレビ、新聞に対する重要性認識は大きく変化しなかった
  が、インターネットに対する重要性認識は大きく増加
 ・テレビはすべての世代で重要性を認識されているが、イン
  ターネットは年代差が大きく、年代によっては、テレビと
  同様の重要性認識となっている
 ・インターネットの信頼性は上昇しているが、信頼性が高い
  情報源として認識している人は少ない
 といった状況が示されている

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc213230.html

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■執筆者プロフィール

 松井 宏次(まつい ひろつぐ)
 ITコーディネータ 1級カラーコーディネーター 中小企業診断士

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