新しいIT活用の時代 / 宗平 順己

 平成24年3月に経済産業省から以下の画期的な報告書が出されました。
「次世代高度IT人材モデルキャリア開発計画事業報告書」
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/FY23_ITJinzaiIkusei.htm
 ここでいう高度IT人材はこれまでのSE像とは全く違って、ITを使って新しい事業を創造できる人材、もう少し別の言い方をすると「儲けるIT活用」を実現できる人たちのことを指しています。
 この報告書では、ITを使った新しい事業創造の事例を95集め、さらにそこで活躍した人材41名にインタビューをして、新しい人材像を定義しています。
 その結果、価値発見、サービス設計、事業創出という新製品・新サービスの創出プロセスを定義し、さらにそのプロセスにおける活動内容を定義したのちに、以下の6つの人材を高度IT人材として定義しています。
・フィールドアナリスト
・IT サービスデザイナ
・IT サービスアーキテクト
・イノベーティブエンジニア
・ビジネスデザイナ
・プロデューサー
 また、これらの人材は、ITSSやUISSといったこれまでのSEやコンサル系の人材体系とは全く別の人たちで、現在の教育の延長線上では育成できない人であると述べています。
 実は従来、少し飛んだ発想をする人をシステム開発の現場では排除してきたのですが、これからはむしろそういう人材こそが重要になってくると言っています。
 ITが効率化やコスト削減といった使い方ではなく、もっと価値のある使い方をしだしたことから、このような新しい人材が求められるようになってきたのだということができます。
 この人材面での新たな動きとは別に、今、「MAKERS─21世紀の産業革命が始まる」という本が話題を呼んでいます。3次元プリンタや無料のCADソフトなどの普及を通じて、都会のまち工房を使った多品種微量生産のビジネスが立ち上がってきています。製造業×クラウドの新しい解が生まれようとしているのだと思います。
 これらの新しい動きは、大企業よりも中小企業の方がキャッチアップしやすいはずです。クラウドを使うことで、スモールスタートができることがその理由です。
 価格競争にさらされるのではなく、社会インフラとなったインターネットを活用してブルーオーシャンのビジネスを見つけるヒントが両方の資料には示されています。ぜひ、ご自身でしっかりと読まれることをお勧めします。
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■執筆者プロフィール
氏 名 宗平 順己(むねひら としみ)
所 属 (株)オージス総研 取締役執行役員 技術部長
資 格 ITコーディネータ、公認システム監査人
専門分野
・BPM+SOA
・BSC(Balanced Scorecard)
・IT投資マネジメント
・ビジネスモデリング
・IT統制