消費税法改正とシステム変更のポイント / 大塚 邦雄

 最近のIT対応の課題としてお客様から相談が増えてきているのが消費税問題
です。平成24年野田内閣の「社会保障と税の一体改革法案」の成立によって消費
税率の段階的な引上げが盛り込まれました。その後平成25年4月の施行迄の間に
詳細が決まりますが、その時迄に消費税改正案で懸念される問題点を明らかにし、
想定され課題にどう対応するかを準備しておく必要があります。
 本コラムでは現段階で明らかになっている消費税改正案の内容とその影響を整
理し、業務システム上どのような検討が必要かを述べます。

 今回の消費税改正案の主な内容は次の通りです。
(1).平成26年4月1日より8%(消費税6.3%、地方消費税1.7%)、
  平成27年10月1日より10%(消費税7.8%、地方消費税2.2%)が予定されている。
(2).新規特定法人(課税売上の5億円超の事業者50%を超えて設立した会社)の免税
  規定が不適用となる。
(3).旅客運賃・入場料金などの場合は施行日以前の領収分は施行日前の税率とな
  る。また光熱水費のなどの場合は検針日により按分計算する。
(4).契約から完成引渡し迄長期期間となる請負契約の場合、契約時期が施行日の
  半年前(指定日)ならば引渡しが施行日以降でも、契約時点の税率が適用する。
(5).リース資産の場合契約時期が施行日の半年前(指定日)で引渡しが施行日前な
  らば、施行日前の税率とし、引渡しが施行日以降ならば施行日後の税率とな
  る。また指定日以降に価格の変更があった場合は変更部分だけでなく、全額
  に対して新税率を適用する。
(6).工事進行基準を適用している契約の場合、契約時期が施行日の半年前(指定日)
  で工事の引渡しが施行日以降ならば、工事着手日から施行日迄の収益は施行
  以前の税率を適用する。
(7).売上値引き・返品の場合は売上が施行日以前ならば、施行日以前の税率とす
  る。
(8).仕入値引き・返品の場合は仕入が施行日以前ならば、施行日以前の税率とす
  る。但し、仕入税額控除方式の違いによって控除額が異なる。(詳細略)

であるが、これは一部しか記載しておりませんので、実際には税務署もしくは税
理士に確認して下さい。

上述の改正点を踏まえ、先ず初めに今回の改正内容で自社の経理処理に影響があ
る点を洗い出します。
その上で、利用しているシステムが自社開発であろうが、パッケージであろうが
以下の事項が考慮され、対応可能かを検討する参考にして下さい。

(a).税額決定のしくみと計上のタイミング
  税額の自動計算にあたっては、上述の経過処置を含め税率決定のルールを予
 めシステムに組み込んでおかなければなりません。そのために従来の取引日だ
 けでなく、契約日や引渡し日など必要な情報が取得できるようにしておかなけ
 ればなりません。

(b).請求書上の税率表示
  現在は税率が1種類ですので、ほとんどが税額をまとめて1つだけ表示して
 いると思いますが、上述の(3)から(8)は経過措置として決められた規定に基づ
 いて、それぞれの税率表示が必要となります。
 対応方法としては、
  1)請求書を施行日以前と施行日以降分の2回に分けて作成する。
  2)1つの請求書に施行日以前と施行日以降分を区分して作成する。
 ことが考えられますが、今後平成27年10月以降では軽減税率も考えられため、
 複数税率が併存することを念頭において検討する必要があります。

(c).消費税額の修正
  経過措置の中には仕入先から計算された通知資料から税額を確認しなければ
 ならないケースがあります。そのため消費税額を修正できる仕組みが必要にな
 ります。
  また、仕入税額控除で個別対応方式を採用している場合は、使用目的の変更
 に応じて、消費税額を調整する必要があります。

(d).その他各種手数料等の自動計算見直し
  システムの中には各種手数料、例えば銀行手数料、報酬・料金等の源泉所得
 税などのように消費税額を自動計算している場合には変更漏れがないように注
 意が必要です。

(e).適宜利用可能な消費税レポートの作成
  消費税額を申告するにあたり、消費税率の経過措置をはじめ、消費税額の算
 出結果を容易に確認する手段を講じておくことが必要です。

以上、消費税法改正の概要とシステム対応時の検討課題を整理しましたので、参
考にして頂ければ幸甚です。

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■執筆者プロフィール

 合同会社グローバルITネット
  代表社員 大塚 邦雄
 ITコーディネータ、情報処理システム監査資格

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