ネットショッピングの進化を再考1 / 松井 宏次

 最高気温39度を記録した夏も過ぎ、秋が訪れ始めている京都。秋の色といえば
山を染める紅葉の色を思い浮かべられるでしょうか。高い秋の空の色である青も、
また秋の色です。

 インターネットを使った「ネットショッピング」は、短い歴史のなかで様々な
試行錯誤を繰り返して来ました。例えば、バーチャルショッピングの構想。90
年代後半、店舗を訪ねフロアを巡り、商品を手に取る、といった一連の流れを
「実際の店舗を模倣してショッピングを楽しく」できるよう、モニター上でどう
実現させるかという取り組みがありました。モニターを通じてあたかも店舗の中
を巡る楽しみが得られるようにしたいという試みです。

 ネットショッピングが身近になった今であれば、容易に予想できる結果ですが、
ショッピングの楽しさを、店舗内の回遊という形式だけで捉えるに留まっていた
この種の試みは、確立することなく消えて行きました。
 広告を見て興味を持ち、ある日、街のなかで店の看板が眼に止まって店を訪ね、
ドアをあけ、店内を見渡し、商品棚を巡る。これはと思う商品の前に足をとめて
いると傍らから店員が説明をしてくれる。・・・といった流れを、そのまま倣う
ような疑似体験は、利用者が求めるところではなかったと言えるようです。

 現在、利用者がネットショッピングに感じている良さは、例えば、広がりと深
さです。目的の商品の探し出しやすさと、商品に関する良質な情報の入手です。
広がりには調達、在庫、配送などを含みます。また、目的の商品とは、利用者が
具体的には知らなかった品物までを指します。実店舗であればディスプレイやレ
イアウトを通じて、利用者、お客様自身が気づく品であったり、店員の接客を通
じて知る商品であったりします。

 アマゾンに代表されるネットショッピングのモールを、少し注意しながら利用
してみると、品揃え、商品比較、口コミ、価格比較、決済、在庫、配送、などい
ずれの面でも、コンピューティング、デジタル情報技術であればこその仕組みが
あることが判ります。
 新しい技術が力を発揮するのひとつのかたちは、「既存のことがらの置き換え」
に留まらずに、「新技術であればこそできること」が行われることです。こうした
ネットショッピングのモールは、その例です。

 また、もうひとつの新しい技術が力を発揮するかたちは、利用者が気づかない
レベルにまで技術利用が一般化し、普及、浸透してしまうことです。デジタル高
速通信の充実と、i-Phoneやスマートフォンをはじめとする柔軟な携帯端末利用の
進展は、ネット利用を特別なものでは無くしました。ネットショップの発展の基
礎部分は、この一般化による、普及、浸透にあります。

 例えば、最近、注目されているネットスーパー。ネットスーパー(ここでは、
イトーヨーカドーやイオンなどスーパーマーケット業者による事業展開だけでな
く、ネット上で注文を受け配達する食料品、日用品販売を広く捉えています)は、
食料品、日用品について、ネットを通じて受注し、個別に配達する販売方法です。

 個別配達、販売を大きく組織的に行った先駆けは生協でした。また、農産物に
ついては、大地を守る会などが、食のありかたについて高い関心を持っている人
たちに知られて来ました。いずれも、会員を募り、予約注文をとりまとめて集荷
し配達で届けるという仕組みで、現在のようなネット普及の前からあるものです。
現在では、この仕組の利用しようとするとき、利用者は、簡便にネットを通じて
登録や発注ができます。特別なことだと意識せずに、です。
 ネットスーパーの成長は、信頼できる事業者による、安心安全な食材の個別配
達というという特質にありますが、いわゆるITの一般化が、その成長を後押し
しています。


<参考>
 公益社団法人 日本通信販売協会(JADMA)の2012年度(2012年
4月─2013年3月)の通信販売市場の売上高についての調査によれば、同年
度の通信販売の売上高は5兆4,100億円。これは、小売業低迷のなかで前年比
6.3%増の伸び。マイナス成長を記録した 1998 年度以来、14年連続増加傾向が
続いているとのことです。
 同協会では、通販市場が成長した要因として、1.アマゾンの大幅増収、2.スマ
ホ・タブレットの普及に伴うネット通販の成長、3. BtoB 通販企業の成長等を
挙げています。
 ネットスーパーは、2006年度には100億円未満だった売上高だったが、
2015年度には1000億円を越えるだろうという民間の予測(富士経済研究
所)もあります。また、イトーヨーカドーだけでも同年度までの目標を1000
億としているとも伝えられています。小売業全体から見ればごく小規模ですが、
大きな伸びが考えられている分野です。

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■執筆者プロフィール

松井宏次 (まつい ひろつぐ) MATSUI  Hirotsugu  ---☆
ITコーディネータ 中小企業診断士 1級カラーコーディネータ

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