ファイル共有にクラウドサービスを使おう / 山口 透

企業活動において、社内と社外で資料を共有したいと思う時があります。
具体的な例としては、見積書の再提出やチラシや提案書の提出です。
見積書は営業担当者が提出した後、数量や単価変更を求められることがあります。

スピード重視の商談の場合は、数量や単価を変更して、すぐに見積書を再提出する必要があります。見積書の管理を一人で行い、持ち歩いているパソコンで保存されている文書を修正し提出するだけならば簡単です。

しかし多くの場合は、事務所にいる担当者が仕入先の単価テーブルなどを参照して修正し、再提出することになります。

商品開発の例では、包装パッケージや製品の外観イメージをデザイン会社と共有する場合があります。
パッケージやイメージを作る協力会社は、それらを映像や写真や画像で送ります。
依頼元の企業は、映像や写真を見て細部を確認し、自社の商品と適合するかどうかを判断します。

見積書や映像や写真はメールに添付して送付することもできますが、メールでは受信できないほどのファイルサイズになる場合があります。
また、社外の人とメールでファイルを送受信すると、最新版のファイルがどこにあるのか分からなくなることもあります。

このような共同作業を行い場合は、パソコンで作った文書をクラウドサービスで共有するとよいのです。

クラウドサービスは多くありますが、サービスの形態をおおよそ3つに分けることができます。
1つ目は、ファイル共有型のクラウドサービスです。ファイル共有型は、手元のパソコンで作成したファイルをクラウドサービスにアップロードします。社内や社外から他のメンバーはこのファイルをダウンロードして、手元のパソコンで修正し再度ファイルをアップロードします。

具体的には、DropboxやSugarSync、マイクロソフトのskydriveなどのサービスがあります。ファイル共有型は、ファイルのアップロードとダウンロードだけなので利用イメージがわかりやすいのが特徴です。

また手元のパソコンにサービス提供者の独自ツールをインストールすると、パソコンのフォルダーと同期をとることができます。これによりファイルのアップロードとダウンロードの操作をする必要がなくファイルを保存するだけで、社内外のメンバーとファイルを共有することができるのです。

2つ目は、グループウェアー型クラウドサービスです。
グループウェアー型は、Dropboxなどと同じようにファイルをアップロードすることができます。

さらにカレンダー機能を使いスケジュールを管理したり、タスク管理機能を使って、仕事の割り振りを進めてインターネット上で仕事の管理をすることができます。

具体的なサービスはサイボウズliveやアイポ等のサービスがあります。

サイボウズliveの場合は、ファイルのアップロードなどが行われると自動的に利用者へメールで連絡が送られるタイムライン機能が特徴です。

このタイムライン機能よりクラウドサービスにログインすることなくメールを見るだけで他のメンバーの進捗状況を把握することが簡単にできるようになっています。

3つ目は、直接編集型クラウドサービスです。
直接編集型は、クラウド上でファイルを開き、編集をして保存をすることができます。
クラウド上のファイルを直接編集することで全員が同じ文書を共有することができるのです。

具体的にはGoogleドライブが有名です。

直接編集するという事はファイル管理型やグループウェアー型のようにファイルをアップロードする必要がないためアップロードし忘れがなくなるという利点があります。

どのタイプのクラウドサービスも、無料のサービスや、無料のお試し期間があるのでまずは試してみるとよいでしょう。

まずは、グループウェア型クラウドサービスの必要な機能だけを使い徐々に機能を増やしていくことをお勧めします。

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■執筆者プロフィール
山口 透(とおる)

流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、DWHの構築支援などを行っている。ITコーディネータ、システムアナリスト