日中の気温が30℃を越し、早くも猛暑日到来です。
体や生活習慣がまだ猛暑に順応しきれていないこの時期こそ、熱中症に十分な注意が必要ですね。外出時は出来るだけ日陰や風通しの良いところを選んで歩く、日傘(ここ数年で男性の利用も増えてきましたね)を用いるなどして、水分と塩分もこまめに摂取しましょう。
さて、ここ数週間の真夏日・猛暑日をうけて我が家の小さな庭にも夏本番の開花に向けて草花の芽がぐんぐんと育ってきています。
その中に、小学生の「夏の研究」テーマになることも多いアサガオもあります。
なぜ朝に咲くのか? から始まりツルはなぜ左巻きなのか? や色の多様性、種の保存(DNA)など不思議な事も多いアサガオですが、今回のコラムでは「生き物から学ぶ経営の勘所」の続編として、アサガオを題材にして経営のヒントを学んでみたいと思います。
・ニッチを制する
アサガオはその名からして、朝に咲くものと思われがちであるが、実際は夜に咲き始め、朝には咲ききっている。
多くの草花が日中に開花する中、朝に満開になることで、人々の関心を独占している。
いや、人間だけではない。
受粉の手助けをしてくれる虫達の誘い込みも独占状態である。
そう、見事に早朝の隙間産業、ニッチ市場での勝者として君臨し続けているのである。
・他人が寝ている時も頑張る
夏の暑い一日の始まり。そんな重い気持ちをすがすがしくしてくれるアサガオは、朝に満開になるように、皆が寝静まっている夜のうちにせっせと活動し開花を進めている。
ニッチ産業の勝者と言えども、まるでお豆腐屋さんやパン屋さんのように、世が開けきらないうちから、地道にひたむきに、皆の「朝の笑顔」を楽しみに働き続けている。
素晴らしい製品、見事な成果、華やかな生花の裏には、人知れず努力を積み重ねていることをあらためてアサガオから教えられるのである。
・常に変化し続ける
アサガオは遺伝子変異を持っており「変化朝顔」に代表されるように様々な形態や色彩を織り成し、世界的に見てもこれほど多種多様に変化した園芸植物は他にはないと言われている。
未だに再現できない、江戸時代に作られたとされる「黄色の朝顔」や「黒色の朝顔」など、その多様性や変化に人々は魅了され続けている。
それ故、人類によって種(しゅ)の保存が守られていると言っても過言ではない。
・最悪の事態でも生き延びる術を知っている
アサガオにとって朝が来ないことは致命的である。
アサガオが開花する時刻は朝晩の明暗により変化することは良く知られている。
(冒頭の小学生の「夏の研究」テーマでも良く取り上げられている)
そんな、アサガオを真っ暗闇に置き、朝を来なくすればどうなるのか・・・・・とある実験によると、それでもアサガオは朝の時刻には咲いたと報告されている。
通常はつぼみが明暗を判断するのであるが、つぼみが明暗を判断でなくなった非常事態においては、一定時刻に開花するよう体内時計(生物時計)による代替運用に切り替わっているのである。
開花しないことは、即ち種ができず種の保存ができない事を意味するが、暗闇が続いてもそのような最悪の事態を回避する仕組みを用意しているのである。
・最後は自分
アサガオは朝から綺麗な花を咲かせ、虫たちを呼び込み受粉の手助けをしてもらっている。
他のどの店よりも早く開店し、魅力的な商品を並び立て、お客様を呼び込むといった作戦である。
しかも、毎回同じ品(花)では飽きられるので、モデルチェンジしてみたり(色彩や形状を変えてみたり)、時にはレアなモノを出すなどマーケティング戦略に余念がない。
しかし、お客様(虫たち)は移り気であり、また環境変化(悪天候)による影響も大きい。
ある日、突然、お客様が来なくなる事もあり得る。
そうした環境下でもアサガオは生き延びることができる。
実はアサガオは自家受粉の花であり、虫の媒介により受粉が行われる虫媒花(ちゅうばいか)ではないのである。
お客様のせいにしたり、環境のせいにしたりすることなく、最後は自分の力で生き延びる術さえも持ち合わせているのである。
以上、アサガオの主だった生態を、商売や経営に例えてみたわけですが、太古の昔から脈々とDNAを伝承し続けている花だけのことはありますね。
アサガオは昼近くにはしぼんでしまう事から、花言葉は「短い愛」「はかない恋」だそうですが、種(しゅ)はとてつもなく果てしなく続いてきているのです。
私達のビジネスも、ひとつひとつの製品、サービスは、「朝顔の花一時」のことわざのごとく、永きに渡ることはないかもしれません。
しかし、
・他人が嫌がる・避ける、他人がやらない所にビジネスチャンスがある
・それをものにするため、他人が寝ている時も頑張り
・常に変化し続け
・環境の変化に耐え
・自らの創意工夫することにより
ビジネスを成長発展させ、ひいては事業を承継できるのではないかと思います。
皆さんのビジネスのツルもどんどんと上に伸び、沢山の花が咲き、多くの種が生まれますように。
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■執筆者プロフィール
富岡 岳司
ITコーディネータ京都 理事
ITコーディネータ
文書情報管理士/IPAセキュリティプレゼンター/JNSA情報セキュリティ指導者