めざせ! データ分析の達人 vol.1 / 池内 正晴

1.はじめに

 企業内で業務のIT化が進むと、業務等に関する様々な情報がデータとして蓄積
されることになる。これらのデータを解析して分析した結果が、経営判断等を行
うにあたって有益な情報として活用できることが期待できる。
 様々なデータを分析して有効に活用していくためのヒントとなるような情報や
考え方を、複数回にわたって解説していく。


2.分析結果の戦略的な活用

 ITを活用したデータ分析は、ビジネスのシーンのみならずスポーツの世界でも
活用されている事例が増えてきている。バレーボール全日本女子の監督がタブレッ
ト端末を持ちながら選手に指示をするシーンをテレビなどで見られた方も多いで
あろう。
 データを分析するという作業は、IT機器がなくても紙と鉛筆を使うことでも可
能である。しかし、大量のデータを即時性をもって分析しようとすると、IT機器
が不可欠になってくる。さらに試合中にIT機器を利用することにより、現在進行
中の試合のデータも含めて分析を行うといったことも可能になるのである。
 このバレーボールの試合で勝利するために、監督は選手に対して適切な指示を
与える必要がある。監督が適切な指示を与えるためには、自分のチームの現状を
正しく認識するとともに、相手チームの特性などの情報をもとにして的確な判断
を行う必要がある。すなわち、過去から現在までの事実である情報を、整理して
分析した結果をもとにして未来を予測し、これから行うべき最善の策を考えて選
手に指示を出すのである。


3.分析とデータ収集

 チームの勝利につながる指示を行うための分析結果を導くためには、分析の対
象となるデータが重要になってくる。ITの仕組みを使うことによって、集められ
たデータを集計することは容易になる。しかし、データを集めるという作業自体
は、IT化される以前とくらべてもあまり変わりはない。それどころか、IT化によ
って分析対象とするデータが増える傾向にあるので、データを集めるという作業
は以前より手間がかかるようになっているかもしれない。
 さまざまなデータを多く集めることにより、現状を多面的にとらえることがで
き、良い分析結果を得られる可能性が高くなると考えられる。しかし、分析結果
との関連性があまり多くないデータばかりをあつめても、労力の無駄になる。相
手チームに所属する選手の攻撃方法やその成功回数などのデータは、多く集める
ことにより、より良い分析結果を得られることは容易に想像できる。だが、その
選手の血液型や出身地などの情報を集めたところで、チームの勝利に貢献できる
分析結果を得られるであろうか。
 あらゆるデータを無尽蔵に集めることは不可能であるため、収集段階である程
度見当をつけて選択していく必要がある。求めるべき結果に影響を与えないもの
や、与えたとしても影響がわずかで、データを収集するコストに見合わないもの
は排除されるべきである。そのためには、結果に対する因果関係の予測や仮定を
しながら、データ収集を行っていくことになる。


4.想定外の分析結果

 集めたデータを整理して分析を行っていくと、現在までに発生しているさまざ
まな状況と、それを取り巻く様々な事象との因果関係が明らかになっていく。そ
の結果が、予測していた関係性とかけ離れたものとなった場合、どのように考え
ればよいのであろうか。
 まず、はじめに分析の過程や収集したデータの品質に問題がなかったかを検証
するであろう。また、データの中には突発的なイレギュラーによって発生したノ
イズとなるデータが含まれていれば、それを排除する。それでも状況が改善され
ない場合は、前提条件などをいろいろと変化させて、予測した結果に近づけよう
とすることになるだろう。その際に、とりあえず数字をいろいろと変化させ、望
ましい結果が出た内容について、因果関係などを後付けで考えるという方法は、
基本的に避けるべきである。
 予測や仮定に誤りや不十分な点がある可能性を考慮しながら、因果関係をしっ
かりと検証しながら出た結果については、たとえ想定外であったとしても、ひと
つの結果として大切に扱うべきではないだろうか。
 予想外の結果が出た場合こそ、自分たちが今までに考えていたこと以外に、新
たな要素や因果関係があることの発見につながるチャンスであると捉えるべきで
ある。すべて想定の範囲内ばかりの分析からは、新たな発見はないのである。


5.ビジネスシーンでの分析

 ビジネスのシーンにおいて分析を行うきっかけとして、自分たちが考えている
ことが正しいことを裏付けることを目的とするケースがよくある。その場合、あ
らかじめ作られたストーリーに、都合がよい結果となるように、分析内容にバイ
アスがかかってしまうことがよくある。それは自分たちの意見を通すためには都
合がよいかもしれないが、結果的に誤った経営判断につながる可能性を高めてい
るのである。
 いろいろな事象を正しく分析するためには、広い視野で客観的に事実を捉える
事が重要である。そして、それが正しい経営判断につながっていくのである。
 次回以降では、広い視野で客観的に事実を捉えるためのポイントについて解説
していく。

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■執筆者プロフィール

池内 正晴 (Masaharu Ikeuchi)

学校法人聖パウロ学園 光泉中学・高等学校
ITコーディネータ

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