先日の第47回衆議院選挙は、自公政権の大勝に終わりましたが、12月の総選挙であったため、例年であれば12月中旬の税制改正大綱の発表時期が遅れることになりました。以下の報道によりますと、年内には税制改正大綱が発表されるようです。
-安倍晋三首相は15日午後、衆院選勝利を受けた記者会見で、来年度の与党税制 改正大綱について「異例だが、年内中にとりまとめを指示したい」と表明した。
円安対策や個人消費の喚起策を盛り込んだ経済対策の年内策定も明言した。
27年度の税制改正大綱も注目ですが、年末を迎え27年1月より大きく変わる相続税の大増税時代が到来することをご存知でしょうか。皆様におかれましても、今後の対応を検討いただきたく、今回は相続税改正の話題を紹介します。
1. 基礎控除額の引き下げと最高税率の引き上げ
現在の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」ですので、例えば、法定相続人の方が3人の場合には、5,000万円+1,000万円×3人で8,000万円となり、相続財産の合計額が8,000万円まで相続税がかかりません。
ところが、平成27年1月1日以後に開始する相続については、この基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と大幅に引き下げられるため、法定相続人が3人の場合では4,800万円まで非課税枠が縮小され、この金額を超える部分については相続税が課税されることになります。
平成26年まで 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
↓ 4割カット ↓
平成27年より 3,000万円+ 600万円×法定相続人の数
現状、相続税の申告割合は約4.1%となっておりますが、この改正により6%程度、とりわけ都市部では、戸建住宅等の不動産+αの預貯金で、この基礎控除額を超えるケースが想定され、6%を大きく上回る可能性があると言われています。
これまでは一部の富裕層にしか関係のなかった相続税ですが、もはや他人事とはいえなくなるでしょう。
相続税の大増税時代の到来と言われるもう一つの改正が、富裕層を直撃する最高税率の引き上げです。現在の税率構造では、課税財産が3億円を超える部分について50%の税率が上限となっています。ところが、平成27年1月1日以後に開始する相続からは、2億円超6億円以下の部分の税率が細分化され、6億円を超える部分について最高税率が55%に引き上げられることとなりました。これは、富裕層にとって影響の小さくない改正となりそうです。
2.増税へ対処するには
まずは、現状においてどのような財産をもっているのか、また、その財産によりどのくらいの相続税がかかってくるのかを計算します。これまでは、相続財産の総額が基礎控除額以下で安心していた方も、既に相続対策を始められている方も、今一度相続財産の確認と改正後による税額を試算して、現状把握することが対策の第一歩となります。
今後の増税に備え、事前の準備を怠らないようにしておきたいものです。
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■執筆者プロフィール
氏 名 間宮 達二(まみや たつじ)
所 属 ひかりアドバイザーグループ(ひかり財産戦略株式会社)
資 格 ITコーディネータ