皆様,明けましておめでとうございます。
本年もITC京都をよろしくお願いします。
■ヒトデとインターネット
昨年12月1日号の富岡さんの「生き物から学ぶ経営の勘所…ヒトデ編」によれば,ヒトデは頭に該当する部分もなければ心臓もありません。どこかに移動しようと一つの腕がその方向に動き出すと,残りの腕もそれに同調して,ヒトデ全体としての移動が始まるそうです。
皇帝アタワルパが絶対的なリーダーとして君臨する中央集権的組織であったインカ帝国は,アタワルパが捕らえられ処刑されると,瞬く間に攻略されてしまいます。モクテスマ2世を王としたアステカ帝国も同じような経緯をたどります。
確かに銃という優れた武器があり,馬という機動力があったにせよ,当初わずか168名の兵士しかいなかったスペイン軍は,8万人の兵を持ったインカ帝国の皇帝を捕虜にしてしまいます。内戦やヨーロッパからもたらされた天然痘などの疫病で弱体化していたにせよ,その後,インカ帝国はズルズルとなし崩し的に敗戦を重ね滅亡してしまいます。
対して,ヒトデの神経系に類似した分散型組織であったアパッチ族は,2世紀にわたってスペイン軍を撃退し続けたとの事です。
結論として「全員にリーダーシップがある組織は,一部の人にだけリーダーシップがある組織より圧倒的に高い成果がでやすい」とあります。確かにその通りだと思います。
もともとインターネットの仕組みも,軍事的な中枢が叩かれても,分散して反撃できることを前提に考えられています。ですから,言ってみれば蜘蛛の巣よりもヒトデ型に近いのかも知れません。
ヒトデの神経網に当たるものは,インターネットでは有線・無線の物理的ネットワークと,ネットワークを構築するルーター群及びDNS等の各種のサーバー群になると思います。また,細胞に当たるものは,アプリケーションの処理を担当するWebサーバーと,PCをはじめとするクライアント群になると思います。
■ヒトデの再生能力とインターネットのOS
ヒトデは,腕を切られても再生しますし,切り取られた腕からもまた新しいヒトデが形成されます。これはヒトデを構成する細胞が,同じ設計図(DNA)を持った万能細胞(昨年,色々話題になりました)であることを意味します。
インターネットを構成するサーバーのOSは,CISCOのiOSや,UNIX,Linuxが中心です。クライアントのOSは,一昔前迄はWindowsが圧倒していましたが,今はスマートフォンの普及により,AppleのiOSとAndroidがWindowsを凌駕していると思います。
生物のDNAに相当するものは,マシンの場合はOSになります。
とすると,ネットワークが再生可能性を確保するためには,ネットワークを構成するマシンが同じOSで動いていて,人為的な初期設定だけでなく,周りの状況を自動判断することによって,DNSやルーターに変わってくれる機能が必要になります。ネットワーク自体にも多重化が必要になりますが,無線化が進めば物理配線の制約からはフリーになります。
■iOSとAndroidのこれから
私はAndroidを使っていて,妹がiPhoneを使っています。以下はfbに書いた文章の焼き直しです。
昨年の秋に,iOSとAndroidをちょっと調べていて思ったのですが…iPhoneは,HWとSWのバランスが良いです。Androidは,どちらかというとHWの力任せ感があります。
吉村昭氏の「零式戦闘機」を読んだのですが,iPhoneがゼロ戦ならAndroidはF6F ヘルキャットって感じでしょうか。
でも,AndroidもiOSもTVとかHDレコーダーとかも制御できそうです。固定電話がAndroidやiOSになって,スマホやタブレットから,風呂や冷蔵庫,洗濯機を含めた制御をシームレスに始めると,IoT,Home Information/Energy Managementが実現します。
住宅メーカーは,iOSの家とAndroidの家やマンションを作りそうです。電力のスマートグリッドと連携すれば電力使用量の確認とかいらなくなります。そこでiOS割引とかすれば,もっと効果が出てきそうです。
そうすると,iOS対応の自治体とAndroid対応の自治体が出てきて,やがて国単位でiOSとAndoroidに分かれて行きます。
その頃にはiOSはLinuxを取り込み,ビル・ゲイツは金にあかせてAndroidを取り込んでしまっています。
■スター・ウォーズの世界へ
人類の銀河系進出に伴い,宇宙船にはOS毎の多様なアプライアンスを乗せる余裕はないので,汎用的な機器が搭載されます。その際,iOSの機器を積んだ宇宙船と,Androidの機器を積んだ宇宙船ができます。結果的に殖民された星がiOSの星とAndroidの星になります。
銀河の星々は,iOSの星を中心に銀河共和国となって,ジェダイに守られています。
しかし,やがてAndroidの星にビル・ゲイツの生まれ変わりが誕生し,暗黒卿ダース・シディアスになります。ダース・シディアスにより,銀河共和国の星々は帝国化してしまいます。
そして,iOSの星である砂漠の惑星タトゥイーンに,スティーブ・ジョブズの生まれ変わりのアナキン・スカイウォーカーが誕生しますが…
我々はスター・ウォーズ エピソード -1の時代に居るのかも知れません(笑)
■終わりに
2015年は,バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2の舞台になった年です。
今回はその話にしようかと思ったのですが,ウィキペディアによれば11月12日の話らしいので,また年内に機会があれば,そのネタで書かせていただこうかと思います。
最後になりましたが,本年の皆様のますますのご活躍をお祈りいたします。
参考資料:
銃・病原菌・鉄(上・下) 1万3000年にわたる人類史の謎 ジャレド・ダイアモンド
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■執筆者プロフィール
上原 守
ITC,CISA,CISM,ISMS審査員補,IPAプロジェクトマネージャ
エンドユーザ,ユーザのシステム部門,ソフトハウスでの経験を活かして,上流から下流まで,幅広いソリューションが提供できることを目指しています。