クラウドの考察 / 山口 透

 クラウドという言葉があふれています。少し整理してもっとこんな風に使えないかと考察してみました。

・クラウドサービス
 クラウドサービスは、今まで手元のコンピュータで使っていたアプリケーションやデータをインタネット上で利用するサービスです。企業内で保有していたサーバーをインターネット上で利用するサービスも増大しています。
 有名なものでは、企業の業務を効率化を進めるセールスフォース・ドットコム、サーバーを従量課金で提供するアマゾンウエブサービスなどがあります。
 Gmailは、企業だけでなく個人でもよく使われているサービスです。

 またアプリケーションだけでなく、DropBoxやBOX.netの様にファイルを共有するサービスもよく使われます。
 ファイル共有サービスの初期利用者は、個人が中心で写真や音楽のファイルを共有して楽しむものでした。現在は単純なファイルの保管場所や共有サービスでなく、マイクロソフトやGoogleの様にファイルを保管する場所を提供したうえで、それを動かすアプリケーションも提供しています。
 このサービスを使えば、ExcelやWord、PowerPointのファイルをクラウド上に置き、場所や時間にこだわらず、ファイルを編集することができます。
 例えば、1つの報告書や1冊の本を作るために、同じ場所で作業するのではなく、違う場所でファイルを編集しながら、作っていくことができます。例えば、午前中は企業の事務所で大きな画面を使って打ち合わせをしながら、午後は移動中のノートパソコンで作業するなどができ、ファイルの持ち出しを考慮する必要がありません。

 このようなサービスとWeb会議やTV会議を組み合わせると、協力会社と話をしながら離れた場所で、同時に同じファイルを見ながら作業が進みます。

・クラウドファンディング
 クラウドファンディングは、インターネットで不特定多数の人からお金を集める手段です。
 インターネット上で「こんな商品を作ろうと思う」「こんなサービスを始めるよ」と呼びかけ、ある一定期間で賛同する方から少額のお金を多くの人から集めます。

 集めたお金に対する見返りにより形態がわかれています。
 何も見返りがない「寄付型」、出来上がった商品やサービする利用できる「商品型」、金銭的に見返りがある「投資型」などに分かれています。

 新しい商品や自分が欲しいと潜在的に感じていた商品が作られることや、何かに協力したいという個人が集まり成果が出ているようです。

 私は、先日ある地域の活性化に賛同して、少額ですが出資しました。
 私の居住地から少し遠いのですが、私が賛同することで、知人やそのまた知人にその地域に住む人につながる紹介してくれることがあるだろうという考えです。
 インターネットで募っていますので、メール、Facebook、Line、Twitterなどのコミュニケーション手段を使って、「転送」「リツート」など賛同する方が拡散してくれます。

 今回は、締め切り時間ギリギリまで目標金額に到達しないかと思われましたが、残り10分でなんとか目標に達しお金を集めることができたようです。

・クラウドソーシング
クラウドソーシングは、仕事の発注と受注の間を取り持つサービスです。仕事の仲介をインターネット上で行っています。
 先日東証マザーズに上場したクラウドワークスやランサーズが有名です。

 データ入力、キャッチコピーやイラストの制作、ホームページの作成からシステム構築など様々な仕事を発注することができます。例えば、ホームページを作成するのは5万円からと概算金額が示されているうえ低価格にできます。
 価格だけでなく、品質や納期の遵守などを評価も公開されているため、顔の見えないインターネットの業者に発注する敷居を低くしています。

 もちろん、中小企業は発注だけでなく受注もできると思います。
 しかしこれらのサイトは、中小企業として情報の宝庫と考えています。
 このサイトの発注内容を見ていると、世の中ではどんなニーズが有るか知ることができます。
 例えば、「暴風雨対策ビニール傘のサンプル作成募集」という案件がありました。もしこの案件の会社が次に「暴風雨対策ビニール傘の名前募集」という募集をしていれば、「サンプルを作ったあと売れそうだ感じている」つまりニーズ出てきたのだと想定できます。
 例えば、自社に耐水性の布の開発技術があれば、このような傘のニーズに対応できると推定できるのではないでしょうか。

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■執筆者プロフィール

山口 透(とおる)

流通業や製造業等でIT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、
デジタルサイネージの導入支援などを行っている。中小企業診断士、ITコーディネータ、システムアナリスト