ここ2~3年は、金融円滑化法終了に関係した中小企業支援に縁ができて、京都の伝統産業や経営業績が芳しくない中小企業の支援案件に携わる機会が少なからずありました。この業務を通じて強く感じたのは、”皆、相談に来るのが遅すぎる”ということでした。自社の経営課題と認識しても、中小企業経営者は目先の日常業務に追われて中長期的に重要な経営課題の解決に向けた行動を起こすことができないままにズルズルと深みにはまり込んで、どうしようもなくなってからやっと支援の要請をするという姿が圧倒的多数でした。数年早く取組を開始していたら、スムーズに解決できたと思うケースが多かったのです。
伝統産業に属して長い歴史を持つ老舗企業も、家電ショップも眼鏡店も文具事務機器店も、2年ほど前に新規創業した雑貨販売店も、皆同様なのです。
その経営課題も、経営戦略の見直しや事業の再構築を検討しなければならないケースが多数です。経営者は事業承継を希望していても、現状のままに承継することは困難で、単に販売手法を見直すとか新製品や新業態の検討に留まらず新事業進出、第二創業を推進する必要があるケースが散見されました。
京都は産業構造として伝統産業が多く、昔なら日常品として大きな需要量に支えられて成り立っていた製品も現代社会のライフスタイルの変化によって、ごく一部の人達の趣味の対象若しくは贅沢品としてしか存続できない状況に追い込まれている業種が多いのです。当然の結果として、業界内で淘汰が進み、転廃業しなければならない中小企業は、産業構造の新しい他の地域に比べると相当高い比率になります。つまり、伝統産業都市京都は他の地域に比べて、新事業進出・第二創業に取組まねばならない企業が圧倒的に多いということになります。
自然淘汰に任せて、廃業やジリ貧の結果の倒産を招くと、時間が掛かるだけでなく京都の経済活力は低下するばかりでしょう。現に事業活動をしている中小企業の新事業進出・第二創業を推進して、これを活性化することが重要課題と認識するようになりました。そのためには、手遅れになる前に対策を講じることが必要です。企業の存続と発展のためには、事前の啓蒙活動と第二創業の実践に向けた道案内が決め手になると思われます。
ITコーディネータ京都の会員専門家には、新規創業や第二創業、ベンチャービジネスの伴走支援に長年取り組んで、中小企業支援人材として文部科学大臣賞を受賞した定評のあるベテラン人材、中小企業の持つコア技術の活用による新展開支援により業績向上に貢献した人材、中小企業支援専門家向けに最新の経営及びITスキルを伝授する”先生の先生”が得意な人材等、多彩な専門家人財がいます。今回は、このような専門講師による「第二創業スクール」を京都にて開催します。先ず、8月19日(水)午後には今般開催する第二創業スクールの概要説明会(プレセミナー)を開きます。その後、8月26日(水)を第1回として、概ね二週間間隔で全7回シリーズを開催します。最終会は11月11日(水)になります。なお、このスクールは中小企業庁の「平成27年度地域創業促進支援事業」です。
この第二創業スクールの実効性を高めるために、特に京都中央信用金庫や日本政策金融公庫京都支店ほかの地元の金融機関と連携しています。従って、本スクール受講者の第二創業に関わる資金重要等のご相談に親身な対応ができる体制も整えました。受講者は、事業展開の計画を策定するだけでなく、資金面における見通しも明確に持って頂けることを目指した大変にユニークな実践型のスクールです。
今年の開催は、”スクールに参加するのが、第二創業成功の近道!”をキャッチフレーズとしています。具体的には、7月中旬までにITコーディネータ京都のウェブサイトにて広報しますので、関心のある方は是非ご確認ください。
⇒ https://www.itc-kyoto.jp/
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■執筆者プロフィール
中村久吉(なかむらひさよし) (NPO)ITコーディネータ京都理事長
ITコーディネータ、中小企業診断士、プライバシーマーク主任審査員