営業はサボっている? / 山口 透

■営業は、社長のイメージする得意先に行ってますか?
 従業員数50人ほどの中小企業であれば、社長が営業に「今月は、XX(得意先)
さんへ顔を出したか?」と尋ねることがあります。これは「商機のある得意先へ
営業が行っていないのでは?」と社長が感じているのです。もちろん、営業がサ
ボっていることが原因ではありません。社長と営業が見ている情報が違うため、
営業の行動が違ってくるのです。
 営業は、よく訪問する自分の得意先の情報は知っています。しかし、営業は社
長のように全体の売り上げ数字を見ているわけでありません。このため、今月こ
こに行けば商機があるいう感覚が、社長と違っているのです。例えば「今月は別
の会社でこれが売れているから、似た会社はこれが売れそうだ」と社長が感じる
場合があります。これは、担当する得意先が違う場合は、営業同士が情報共有し
なければ気がつきません。
 しかし、社長が持っている情報を渡して、単純に「あそこに行け」と指示する
だけではいけません。毎日行く先を指示しているようでは、営業が考えて行動し
なくなり、指示待ち営業が溢れてしまいます。

ではどのようにすれば良いでしょうか。
このためには、社長と営業が同じ感覚になれる情報を渡すことが重要です。
そのための一つの方法が、社長が分析した情報を出力するシステムを作ることで
す。

■営業と社長を取り持つシステムを作る
 今回、私は機械部品会社の購買時期を予測するシステムの開発支援を行いまし
た。この会社の製品は、最終商品を製造する機械の一部を担います。そして、そ
の機械を使うことによって消耗する部品でした。
 このため、得意先の企業の稼働率が一定もしくは周期があればその頻度で部品
も消耗していきます。この消耗頻度は、社長も営業もおおよそ勘でこのくらいに
なるだろうという大まかには掴んでいました。この勘を見える化したのが、購買
時期予測システムです。購買時期予測システムは、BtoCのように消費者相手の予
測が多いようですが、BtoBにも使えます。

 この企業では、いつ誰に何をいくらで売ったかという売り上げデータを6年分
蓄積していました。このデータを分析したところ、おおよそ一定の周期で購入さ
れていることがわかりました。この分析結果をもとに、今までの販売傾向から何
月ごろに次に必要となるかを予測するというシステムを作りました。このシステ
ムは、得意先ごとや担当者ごとに、何月はどの部品が何個売れそうかという予測
を表示します。また担当者ごとの一覧表を作成し、担当者に毎月の月初に配布す
ることにしました。

■効果
 このシステムを導入し始めたばかりですが、効果が出てきました。
 まず、営業が自分自身で毎月どこに行くべきかを確認できるようになりました。
多くの営業は、よく行く得意先ではこの部品が売れそうだという情報は掴んでい
ました。ただし感覚に頼っているため、頻繁に電話がかかってくる得意先や、場
所や相手先の雰囲気など行きやすい得意先に行く傾向が多いようでした。これが、
得意先ごとに、月初に訪問すれば良いか月末に訪問すれば良いかを把握すること
ができ、行くきっかけを作ることができました。
 お客様から「そろそろ発注しようと思っていた」と声をかけられることが多く
なっているということでした。

 また、副次的な効果がありました。予想より発注が遅れている場合は、お客様
の機械の稼働率が下がっているということになります。この原因をつかむことで
次の手が打てるようになりました。具体的には、「その機械ではなく別の機械を
購入しようとしている」「お客様の売り上げ全体が下がっている」「全く違う最終
商品を開発している」などです。これらを聞き出すことで、新しい機械に対応し
た製品の開発などを積極的に提案し、新たな需要をつかむことができるうえ、お
客様に喜んでいただいています。

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■執筆者プロフィール

山口 透(やまぐちとおる)
流通業や製造業に対して、IT戦略策定支援やバランススコアカードの導入、
経営改善指導などを行っている。中小企業診断士、ITコーディネータ、システ
ムアナリスト

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