ドローンを活用した新ビジネスへの期待 / 富岡 岳司

昨年の11月のコラムでは、IoT活用の潮流について、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路運転システム)を例に取り上げて考察しましたが、1年後の今回は、ドローン(小型無人航空機)を題材に述べてみようと思います。

 

予め、ここで言うドローンが指すものは何かをWeblio辞書から一文を引用させて頂き簡単に定義しておくと、

「無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できる航空機」

と言うことになります。

即ち、プロポなどの送信機を用いて人手で操縦する「ラジコンヘリ」は含まないと理解しておいて下さい。

 

ドローンが注目を浴び、法規制などが進むきっかけとなったのが、2015年4月に起きた総理大臣官邸屋上のドローン落下事件だと思います。

由も悪しきも、この事件以降、ドローンについての議論が活発になり、2015年12月に改正航空法が施行されるとともに、今年4月には重要施設に対する危険防止に向けてドローン規制法が施行されました。

 

後者のドローン規制法は主に、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止するものであり、ドローンを活用した民間ビジネスの創出にはさほど影響はきたさないと思います。

他方、前者の改正航空法では私有地内であったとしても、以下のエリアでは許可無しにドローンを飛ばすことが出来なくなっており注意が必要です。

 1) 空港等の周辺(進入表面等) の上空の空域

 2) 150m以上の高さの空域

 3) 人口集中地区の上空

つまり、150m未満の高さでの飛行であったとしても、3) に該当する地区では許可なしにドローンを飛ばすことは出来ないのです。

この 3) に該当する地区とは、平成22年の国勢調査の結果による人口集中地区の上空であり、一般的に言われる都市部がほぼ該当します。

興味がある方は、国土交通省:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールのサイト

http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html

に記載されている国土地理院へのリンク「地理院地図」をご覧下さい。

地図上で赤くなっている場所が許可なく飛行ができない人口集中地区であり、お住まいの地域もこの中に入っているかも知れません。

 

さて、このような規制があるとは言え、ドローンの特性を活かし、効果的に活用することで、従来、人手で行っていた作業を効率的に代替するだけでなく、今までになかった全く新しいビジネスやサービスを創生することも可能です。

 

ドローンは単に、「空を飛べる」「カメラを搭載して空撮できる」というだけでなく、最大の特徴は、アプリケーションやデバイスの組み込みにより様々な機能が追加できるという点であり、以下では、既にドローンを活用して提供されているサービスを 3つ紹介します。

 

●ソーラーパネル調査

ソーラーパネルの点検は人手による目視で一枚ずつパネルを確認しなければならず、メガソーラー施設では大変な労力・時間・コストがかかっていました。

しかし、ALSOKが提供する空撮サービスでは、ドローンを用いることで異常個所の早期発見を短時間かつ少労力で実現できるようになっています。

これを支えているドローンの組み込み機能として赤外線カメラがあります。

ソーラーパネルは異物が付着するとその部分の温度が上がるため、ドローンに搭載した赤外線カメラでその箇所を検知し可視カメラで撮影するのです。

 

●高精度測量

コマツが提供するITCを活用した建設現場での効率化ソリューション「スマートコンストラクション」でも、ドローンが活躍しています。

建設・土木工事は、大方の場合、現場の測量を伴いますが、それが大規模施設となれば測量に多大な時間とコストが掛かります。

また、地形によっては測量時の安全対策も必要になってきます。

しかし、スマートコンストラクションで提供されるドローンによる測量では、ドローンが自動飛行し、現況測量してくれると言うものです。

ここでポイントとなるのが、自動飛行と位置データです。

ラジコンヘリでも空撮ができないことはないですが、広大な土地を緻密に飛行させたり、位置情報を組み込むことはできません。

ドローンを用いることで、事前に設計・登録したルートに沿って自動飛行をさせて測量し、写真と位置情報を設計センターに送信させることを可能にしています。

 

●防犯対策

セコムでは、ドローンを用いた防犯対策サービスを提供しています。

例えば、企業のゲートにセンサを設置しておき、正規の手続きをせずに侵入した車両があると、ゲート(無人)からドローンの待機センター(ドローンポート)に指令が届き、ドローン(セコムドローン)が出動すると言った仕組みです。

ドローンには監視カメラやLEDライトが搭載されており、ゲートからの情報をもとに自律飛行で侵入車両を追跡し、車両前方・後方に回り込んでナンバーや運転手、車体を撮影しリアルタイムにセコムのコントロールセンターに画像を送信することで、迅速に有人対応へ引き継ぐといったものです。

現時点では、プライバシーや様々な法規制を考慮して、契約者の敷地を出ての追跡までは行わないようですが、ドローンを用いることで、立体的な監視ができるだけでなく、情報収集者が不審者からの攻撃による人的被害を避けることができる点が優れています。

デモンストレーションの動画を見せて頂いたのですが、面白かったのは、任務を終えたセコムドローンはロボット掃除機:ルンバのように、自動でドローンポートに帰り、充電を行うといった点です。

 

以上が、ドローンを活用したビジネスの例ですが、周辺サービスも生まれてきています。

ソフトバンクコマース&サービスは、法人や自治体、教育機関などでのドローンの活用を支援する「DroneBank」を開設し、ドローンの機体の販売や保守、セミナー、操縦研修、保険までワンストップで提案するサービスを開始しています。

 

 

 ドローンは、取得したデータをリアルタイムにサーバーに送信するなど無線通信、インターネット通信と蜜に連携しており、また、そのデータが更に先にある高付加価値サービスへと繋がっていくことからも、ドローンは単なる飛行装置ではなくH2M(Human to Machine)、M2M(Machine to Machine)、IoTの代名詞とも言えるでしょう。

 

シード・プランニングによると、国内のドローンの機体本体と、ドローンを活用したサービスビジネスを合算した市場規模は、2020年には2015年の38億円の約16.7倍の634億円となり、2024年には更に利用が進み2270億円の市場になると予測しています。

あくまでも予想値ですが、期待せずにはいられないですね。

 

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■執筆者プロフィール

 

富岡 岳司

ITコーディネータ京都 理事

 

ITコーディネータ/文書情報管理士/セキュリティプレゼンター/情報セキュリティ指導者/第1種衛生管理者/電気工事士

 

E-Mail:tomiyan@r9.dion.ne.jp

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