2017年

2月

27日

ブロックチェーンの社会的波及効果について / 松山 考志

 2014年にインターネット上の仮想通貨ビットコイン取引所である「マウントゴックス」を運営するMTGOXが、顧客の保有する75万ビットコインのほか購入用の預かり金28億円を消失させた事件は、まだ記憶に新しいかと思います。この事件により、ブロックチェーンという技術を初めて知った方も多いでしょう。ブロックチェーンは、仮想通貨を発端として今日では様々な形で提案・開発・実証

試験が繰り返され、課題を解決しながら機能拡張されており、AIやIoTと並んで注目を集めています。

 

(参考)5分でわかるブロックチェーンの基本的な仕組み

    https://the.alleslide.com/332

 

 ブロックチェーンは、価値記録の取引に使用される技術で、次の3点の特徴があげられます。すなわち、「改ざんが極めて困難」であり、「実質ゼロ・ダウンタイム」なシステムを「安価」に構築可能である、と言われています。その領域は、仮想通貨以外にも広がりを見せ、金融、ポイント交換、資金調達、コミュニケーション、資産管理、認証、医療情報など多くの分野で新たなサービスが市場に出現しようとしています。

 例えば、土地の登記や特許など、国管理のシステムをオープンな分散システムで代用することや、IoTではセンサーなどが中央のサーバーを中継せずに個々にやりとりしながら決められた処理を行うなど、様々な分野で実証試験が繰り返されています。海外での具体的な取り組みでは、ドバイ政府が、「ドバイ・ブロックチェーン戦略」の一環として、2020年までに政府の公文書をすべてブロックチェーン化する戦略を掲げており、つい先日IBMと組みこれを推進していくことを表明しました。現時点で明らかになっているのは、紙ベースの税関と貿易事務をスマート・コントラクトに置き換える計画です。輸入業者が信用状を取引銀行より入手する発注段階から、出荷と輸送の中間段階を経て、通関手続きと支払いを伴う最終段階まで、主要な貿易プロセスをブロックチェーンで統合することがスタートされます。

 

 このようにブロックチェーンとは、ある一定規模の参加者が存在する形において、「特定の主体やシステムに依存することなく、ネット上の価値や情報について相互に承認するプロトコルである」という見方も出ています。既に数多くのプロジェクトやサービスが出現し、短期的にはブロックチェーンを使った様々なサービスが立ち上がると予想されています。一方で、ブロックチェーン技術の標準化に対する活動がされていない、ブロックチェーンを使用したサービスにおけるSLAの整備が進んでいないなどの課題が指摘されており、ブロックチェーンを活用したイノベーションに対応するため整備すべき事柄は多くあります。

 このようにブロックチェーンを取り巻く動きは活発化していますが、日本国内で活用するためには、現行制度と合致しない部分について規制の見直しが議論されています。例えば、消費税法では仮想通貨やポイントへの課税について、資金決済法では国際送金について、電子署名法では法的証拠能力の明確化等です。海外と比較すると、例えば、仮想通貨や決済手段の普及スピードに歴然の差があることが分かります。中国では、デビットカードの代わりに、アリババが展開するオンライン決済手段のAlipayが急拡大しています。理由は、スマホで利用できる、手数料が安い(無料サービスが豊富)、決済範囲が広い(光熱費、電話、インターネット、携帯、タクシー、航空チケット、海外送金など)、携帯番号での送金、割り勘機能など、サービスが豊富で中国では爆発的に普及しています。日本でもAlipayに対応の決済手段を導入する企業が大手を中心に増えています。一方、日本はGDP換算で世界的にも現金決済比率が高いのが実情です。外国人がお店で決済する際、事前に日本円に換金しておく必要があり不便だという声が聞かれます。また、日本人でも現金を送金する際の手数料が気になる、お店で支払いをする際、前の人が現金の支払いでもたもたするのをイラっと感じる方は意外に多いと思います。

 話を戻しますが、日本国内でビットコインを支払いに使える店舗は現在3,000店舗ほどであると推測されています。これが2017年中に約5倍の2万カ所まで増える見通しと日経で報じられました。海外では10万カ所以上で使えるなど急拡大しており、インバウンド対応の手段として注目されそうです。この状況を後押しするように、政府は昨年12月、「平成29年度 税制改正大綱」において、諸外国の例にならいビットコインなどの仮想通貨を購入する際には消費税が課税されないことを決定しました。これにより、仮想通貨は「モノ」「サービス」でなく、「支払い手段」に位置づけられ、決済手段として利用に弾みがつく可能性が出てきました。なお、適用は2017年7月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れが対象になります。

 

 個人的には、インバウンドの拡大は国家戦略でもあり、今後も増加の一途を辿ると考えています。仮想通貨を活用した決済手段はお客様に利便性を提供し、店舗側にとっても集客力向上につながるはずです。また、決済時につり銭間違いや言葉の違いによる面倒がなくなるためミス防止、業務効率アップにつながります。中小企業や個人事業主の方は、生産性やサービス向上に資するITの活用をこれまで以上に検討しては如何でしょうか。

 

(参考サイト)

・日本ブロックチェーン協会 http://jba-web.jp/

・ブロックチェーン推進協会 http://bccc.global/

 

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■執筆者プロフィール

 

 松山 考志

宅地建物取引士

個人情報保護士

文書情報管理士

 

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