2017年

3月

13日

知っておきたいシステム導入成功のポイント / 山口 透

最近ITを活用したシステム導入を進めるために、何に気をつけるべきかとよく聞かれます。

最も大切なことは、システム導入で業務改革を行う意思があるかということです。

 

私が考えるシステム導入と業務改革のポイントは以下の3つです。

1. 導入目的を明確にする

2. 大きな絵を描く

3. 全員で進める

 

少し解説します。

1. 導入目的を明確にする

導入目的を明確にするのは、社長の役割です。

社長はシステム導入で何を期待しているか、何のために導入するのかを明確にする必要があります。

わかりやすく言えば、「儲ける」ためなのか「助かる」ためなのかを決めるのです。例えば、「お客様から見積もり依頼の対応を迅速に行う」や「売上拡大によって業務量が増えるので業務効率を上げたい」といったことです。このように直接的に売上や収益を拡大させるためか、間接的に費用を削減させたいのかを明確にします。

 

2. 大きな絵を描く

社長やシステム導入推進者は、「大きな絵」すなわちあるべき姿を描いてください。社長としてどうなると理想的なのかを描いてください。

常に社長は、何となくこうしたいという想いはあります。それは言葉にできればよいのですが、「なんとなく」のイメージしかありません。前述の例ですと、突然「うちもホームページを充実させないとあかんやろ」というような意見が出ると思います。その背景には、他の企業が「ホームページを活用して売り上げが上がった」や「いい人材が採用できた」という事例を聞いてくるからです。このため社長の意見の背景を理解した上で、システム導入することでなにがどうなれば良いのかを理解してください。

 

3. 全員で進める

これを効率的に行うために、業務の流れを明確にします。流れを明確にするためには業務フローを作成することが肝心です。

業務フローを作成することで誰が何をやるべきかが明確になり、誰に業務が集中しているかわかります。

 

その後、業務を改善していきます。例えば、複数人で業務の流れを確認していくにつれて、その業務に関わっていない人から、なぜのその業務が必要なのかわからないという意見が出ることがあります。それが業務改善のヒントになります。

 

業務改善は、役割の押しつけ合いのならないような考慮が必要です。

 

具体的な事例として、直近の業務改革を伴ったシステム導入事例を2つご紹介します。

2つの企業は、ほぼ同じ規模で食品関係の機械メーカ製造業です。

規模は同じですが、関係者の関わり方に違いがあったのでアプローチを変えて進めました。

 

一つ目の企業は経営陣からのトップダウンでの進めることができました。

まずトップダウンで、

「売り上げ上がると業務量が増えるので同じ人員で業務ができるようにする」という導入目的を明確にしました。

 

次に、これまでコスト重視で投資判断をしてきましたが、これからは人件費を考慮して従業員の作業の時間をコストに反映させて、コストを見える化し効率を上げていく。それをもとにコスト投資判断をする、という大きな絵と優先順位を決めました。

全員で進めるために各現場のリーダーを集め、業務分析を行いました。ただしトップダウンによる変革のスピードも重視したため、分析中に改善ポイントを抽出しながら、すぐできる改善項目であれば、システム化の考慮せずに業務改善を進めていきました。

 

例えば、ある業務では間違い回避を重視してチェックシートを多用し、確認作業が何工程もありました。しかしこの作業を長年行っていたため、誰の為なのか何のための確認なのかが分からないまま、業務が行われていました。

そこで確認作業の工程を減らし、単純なチェック作業はコンピュータで行う、という方式に変えました。これだけで、月額数十万円の費用が削減できる上、次のシステム化の導入も簡単になります。

 

もう一つの企業は、リーダーからのボトムアップがうまくいった事例です。

導入目的を明確にする点は、上述の企業と同様に「売り上げが増えても同じ人員で業務ができるようにする」ものでした。

 

ただし、リーダ層を経営者と同様の考え方に育てたい、という社長の思いがあったため、リーダ層を中心にボトムアップで進めることにしました。しかし、ボトムアップとはいえ、まずは、リーダー層の前で社長の考えていることをヒヤリングしました。

こうすることで社長の想いを共有し、方向性が間違っていないかという判断の基準を明確にしました。

 

次に、複雑すぎてこれまでシステム化に至らなかった業務の流れを整理し、システム化するところを重点的に抽出することをすすめました。

 

業務の流れを整理していくと、部門間の情報が共有されていないことがわかりました。

製造部門と仕入購買部門は情報が共有されており、商品名や商品コードが統一されています。また、営業部門と業務部門も同様に情報が共有されていました。しかし、営業部門と製造部門の共有がされていないため、営業が販売した製品の構成部品は何が導入されているかがわかりません。お客様からの修理依頼に対して部品をいち早く確認し、交換するという作業があるにもかかわらず、迅速に対応できない状態でした。業務量が多くない状態では手作業で十分に対応できていましたが、今後の2年間で売り上げを1.5倍にする目標を立てているために処理が追い付かないということが予想されました。

 

そこですべての情報を共有しデータベースを一つにすることにしました。ただし、データを利用する部門とデータを入力部門が違っているので、この役割と責任を明確にすることが、今回のシステムの重要点でした。業務の流れを全員で整理することで、問題点が明確になると同時に、全員の調整がスムーズに進みました。

 

上記の企業はITコーディネータとして支援しましたが、企業内には人材がいないということはよく聞かれます。システム導入のためには、コンピュータに強い人材を推進リーダにするべきでしょうか?

もしコンピュータに強い人材に会社の業務全体を理解してもらえればば、導入はうまく進むと考えます。もしくは業務全体を理解している人を、コンピュータに強い人材がサポートするという体制でもよいでしょう。

 

それでも不安でいずれも難しい場合はどうするか。この場合は、ぜひ、ITコーディネータ京都にお問い合わせください。

 

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■執筆者プロフィール

 

山口 透(やまぐちとおる) toruy55@nifty.com http://www.yama91.com

シャープビジネスソリューション(シャープのITシステム販売会社)で、システム構築を統括するプロジェクトマネージャー、業務改善を提案するITコンサルタントとして大企業から中小企業までのシステム提案を行う。

2015年10月から「経営とITと人材育成」のコンサルタントとして開業。

 

ITコーディネータ、中小企業診断士、システムアナリスト

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