外部専門家活用のススメ マンション管理組合 (1) / 丸山 幸宏

<まえがき>

 わたくし事ですが、マンション管理組合の理事長を務めております。しかも、関西の自宅と東京の事務所の両方の組合で。外部の専門家である管理会社他の活用について、触れたいと思います。

 

<私の立場>

 自宅マンションは、来年大規模修繕工事を控えており、一昨年度より毎月開催の検討委員会に参加して、昨年夏からは輪番制で回って来た理事会にて、流れで理事長となりました。

 また、東京の事務所マンションでは、初めて出席した総会にて、理事が足りないということで引き受けた副理事長。昨夏、理事長さんが転勤による引っ越しで退任され、流れで理事長となりました。

 2つの異なる管理会社経由のサービスについて、居住者として“主体的”に“相対的”に、当事者として関わることができました。

 

<論点>

 2つの組合の運営状況について、現状を知り、利用しているサービスを比べる機会が増えてくると、「大なり小なり改善したいこと」や「なぜこうしているんだろう?」って疑問もたくさん出てきます。ところが、輪番制で理事を2年ごとに総替えしているため、過去からの経緯があやふやになってしまい、特に中長期の課題に上手く取り組めていない現実がありました。

 そういった状況を避けるために専門家である管理会社が機能するはずというのは甘くって、結局組合次第なんですね。外部支援者を上手く使うためには、組合にはそれなりの能力というか段取りが求められるということに気づいた次第です。

 そんな訳で、普段仕事で使っている「バランス・スコアカード」による整理方法にて、組合が主体的に段取りした方がいいなと感じた事柄に触れます。

(複数回に分割)

 

<バランス・スコアカードのモデルを使った整理>

(1) キャッシュフローと積立金の視点:財務

 大事にしていることは、「年間予算ベースの収入と支出のバンスシートの推移@一般会計」と「30年程度の長期修繕計画と積立金の推移@特別会計」がどう

いう状況で、大きなリスクがどこにあって、どういった対策が望まれるかということになります。例えば次の2つです。

 

 a) 収入リスクの大きなもの

  最大の収入リスクは、管理費とほぼ同じ規模の収入源である「駐車場収入が減り続けている」こと

 で、既得権というかセンシティブな面もあって、なかなか手が打てていませんでした。アンケートで

 調べて見ると、実は外部の駐車場を利用している人もいて、特定の駐車ロットの利便性への不満や、

 EV & PHV充電設備へのニーズなども見えてきました。既得権らしきものに配慮しながらも、ロット

 ごとの需給状況に応じた柔軟な価格設定と流動性を持たせることで、リーズナブルな運用方法を確立

 できたらと考えています。しかしながら、絶対的な需要不足もあって、不人気ロットのストレージへ

 の転用も含めて検討しており、もうちょっと時間がかかりそうです。

  事務所の組合では、土地柄もあってシェアードエコノミーに習い、一部ロットを外部に使ってもら

 ったりしています。

 

 b) 支出リスクの大きなもの(無駄に払い過ぎていた過去)

  インターネット接続サービスの一括契約が、長年見直されずにありました。検討してコンペにする

 と、速度10倍・専有部の1G対応ルータ付きで契約期間が4年と比較的短期にもかかわらず、コストが

 約半分になりました。契約上の拘束期間はずっと以前に終了していたにもかかわらず、見直されずに

 管理会社も“沈黙”したままだった様です。接続業者が、管理会社と関係があったこともこういった状

 況を助長していたと考えていますが、もったいない話です。毎月1戸あたり1,000円以上も安くなる機

 会を逃し続けた訳ですからね、数年間も。

  同種のものに、セキュリティカメラのサービス契約があります。今ならネットワークに無線接続さ

 れたカメラとクラウド上のサービスがリーズナブルなコストで調達可能です。しかし、現在両物件と

 もに稼働しているものは、管理事務室内にサーバを設置した古いタイプのもので、今となっては高額

 な月額使用料で、しかも“長期”の契約になっています。まだ契約期間内ですが、早めにクラウド型の

 サービスに移行するべく、シミュレーションに基づき途中解約を検討中です。

 

※以下の2つは次回にて。

 c) 積立リスク:積立不足と修繕積立金の値上げ

 d) 運用リスク:運用機会を失い続けていた過去

 

(2) 居住者・区分所有者の視点:当事者

 大事にしていることは、維持したい住み心地の当事者は「居住者」であり、保全したい財産の当事者は「区分所有者」であり、それらは流動的であるという原則です。

 

(3) 向き合い方の視点:プロセス

 大事にしていることは、外部支援者には事例に基づく提案や再発防止などの専門性が必要な助言で価値貢献してもらうということ。

 a) ルールによる捌きごと:法令・規約から個別契約・管理員諸調整まで

 b) サイクルによる捌きごと:年次総会から個別の委員会まで

 c) アドホックな捌きごと

 

(4) 組合の成熟度の視点:学習と成長

 大事にしていることは、外部支援者を賢く使う上で、まず主体的に考えること。

 

<あとがき>

 組合が管理会社他を上手く活用するためには、まず組合自身がもっともっと賢く運営に成熟しないといけないということが身にしみております。同時に、普段ITの専門家としてお客様を支援する上でも、「上手に使い倒されるためには、お客様には賢くなってもらうこと」が、やっぱり大事だなぁと思いました。

 

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■執筆者プロフィール

Yukihiro Maruyama(丸山幸宏)

 ボスはインド人。夢は外から地球を眺めること。

 得意分野は、グローバルなソーシングやガバナンス、エンタープライズでのBPMやEAMとデジタル

 トランスフォーメーションの推進。

 ITC(0015202003C), IT-CMF(CANDIDATE ASSESSORS)

 ymaru.soho@gmail.com

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