IT業界の定年説に思う事 / 西田 則夫

私がまだ、入社間もないころIT業界には35歳定年説がまことしやかにいわれていました。それから数十年後の今、私も含め先輩、同輩諸氏はIT業界を離れることなく仕事に携わっています。それは都市伝説だったかもしれませんが、定年説の理由として、体力の低下で納期間近や負荷増大による激務をこなせないことや新技術、新言語への対応ができないこと、プログラミング作業は若手が台頭してくることがあげられました。

実際は、IT関連の作業はプログラミングだけでなく、プログラミングするための設計作業やその要件をまとめる作業があります。また、それぞれの作業をマネジメントする役割も必要です。その他、インフラ構築をしたり、システムが稼働した後の運用業務を設計、実施する作業もあり、多岐にわたる仕事がシステム開発に発生します。

たしかに若い頃に比べ、体力は落ちてきますが、昔に比べタイトなスケジュールが少なくなってきており、限界をこえるようなことはなくなってきています。また、新技術、新言語の対応は、若さにはそれほど関係なく、若いからといって習得が早いわけでもなさそうです。

1980年ごろの団塊ジュニアの誕生が終わったころから少子高齢化といわれるようになりました。2018年には、60歳代の人口比率が33%になるとのことで、比較的若いといわれてきたIT業界も高齢化の波が押し寄せています。

35歳定年説は、今は昔の話としても、今までの開発業務に加えて、昨今、AI、IoT、自動運転車、ロボットなどなどソフトウェア開発の幅は広がり、人材の不足感は否めません。今後、さらなる少子高齢化で労働力不足が明白なため、企業としても人材の確保は急務となります。

そこで、注目したいのは、35歳定年でなく、60歳定年(昨今60歳以上での定年の企業もありますが)になった社員の有効活用です。この年代になると、家のローンや子供の教育などある程度目途、もしくはなくなる場合があります。企業側が賃金おさえることで、定年前の所得は下がっても生活レベルは贅沢しなければ維持できるかもしれません。

一つの例として、マネジメント分野において、マネジメント経験のある定年社員にプロジェクトリーダーなどへの人材育成やプロジェクトへのファシリテーションを実施してもらいます。昨今の大規模化、複雑化する案件をマネジメントするプロジェクトリーダーは、従来にもまして負荷が高くなってきています。リーダーの力量にプロジェクトの成否が左右されることになるため、力量不足のリーダーに対して今までの経験、知見を活用することでフォローや示唆を与えることができます。

第三者的な指摘ではなく現場に密着したマネジメント支援(プロジェクトの立ち上げ支援、内部課題の対策指摘、実績からのノウハウ展開など)を実施してもらいます。これは、プロジェクトのためだけでなく定年社員の自己実現を図ることでモチベーションの向上にもなるでしょう。

他の業界では70歳まで雇用を延長する企業もあることから、IT業界も35歳定年どころか70歳定年も可能性があります。

私も含めIT業界に携わる人は、今後は、体力をつけ健康に注意し、日々勉強することでスキルアップに励み、来るべき高齢化社会での活躍を期待したと思います。

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■執筆者プロフィール

 

西田 則夫(Nishida Norio)

情報処理プロジェクトマネジャー、ITコーディネータ

 

マネジメントの経験を顧客満足の向上に役立てたいと思います。

Norio.Nishida@scsk.jp

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