情報収集のチャネルとして図書館の活用を考える / 中川 普巳重

<pみなさんは日ごろ図書館を活用されていますか?小学生の頃は毎週図書館の本を借りていたし、中高大学生の頃は試験勉強をする場所として活用していましたが、社会人になってからは足を運ぶこともなくなってしまいました。しかし、創業支援やベンチャー支援を始めてからは、専門分野の調べものをするために行く機会が増えました。と言うことで、今日はビジネスシーンにおける図書館の活用について考えてみたいと思います。

 

 初めて専門誌を活用したのは、中小企業診断士の受験勉強中、2次試験のケース問題向けに「業種別審査事典」のお世話になりました。株式会社きんざいの発行で審査の着眼点、業種の理解、業界の動向、業務内容・特性、審査のポイント、取引推進上のポイント、関連法規制・制度融資等、業界団体の構成内容になっています。中小企業診断士の先生なら事務所に持たれている方もおられるのではないでしょうか。創業支援にも使える内容だと思います。士業の方だけではなく、企業内で新規事業を検討する際にもまずは業界のおおまかな内容が把握できる事典です。全10巻(2016年1月刊行)でセット定価は本体180,000円+税です。

http://www.kinzai.jp/jiten/kosei/index_13th.html

 

 次に、ベンチャー支援を始めた時にお世話になったのが、各種研究所発行の市場調査資料です。例えばパワーデバイス関連技術のベンチャーが自社のコア技術の強みを活かせるターゲット市場を模索している時に、株式会社矢野経済研究所発行の「2017 拡大するパワーモジュールの最新動向と将来展望」を見る等です。

 

 個人的には、時々、研究所が発行している市場調査・レポートの目次を見ています。売れる見込みがある、もしくは顧客の要望を元にどんな調査・レポートを発行するかを検討しているだろうことから、ここ1年で発行されたもの、発行予定のものを見ることで、世の中の関心がどこにあるのかを感じることができます。

https://www.yano.co.jp/market_reports/C59100400

 

 また、業界雑誌、業界新聞も重要な情報源です。みなさんの会社でも自社業界に関する業界新聞、業界雑誌を定期購読されているのではないでしょうか。ちなみに、個人的に創業支援用に良く読んだものは、「日経MJ」「商業界」「日経トレンディ」「DIME」「Mart」などです。もちろんインターネットによる情報検索は必須ですが、誰でもが取得できる情報のみを情報源として経営判断、事業の方向性、対象顧客を検討するのは危険であり、情報源の信頼性、客観性を確認する必要があります。

 

 さて、これらの専門図書や新聞・雑誌を個人的に、もしくは企業ですべて購入するとなるとそれなりの資金負担がかかります。そこで、図書館を活用していただきたいのです。国立国会図書館、各都道府県の図書館、大学等の図書館サイトにてキーワード検索をしてみてください。類似の調査資料タイトルが表示される等、インターネットの検索エンジンで検索するのとはまた違った情報が得られると思います。また、図書館にはトレンドに関係なく様々な本が貯蔵されていますので、検索結果からキーワードであるテーマの沿革が見えてくることもあります。

 

 国立国会図書館の検索サイトでは、国立国会図書館、都道府県立図書館、国立情報学研究所、国立公文書館、国立美術館や、民間電子書籍サイト等の、蔵書・出版目録、デジタル資料、立法情報、レファレンス事例等のおよそ100のデータベースを対象に検索が可能です。国立国会図書館までは遠くて行けないという場合でも、インターネット利用者限定登録をすることで、遠隔複写、閲覧予約(申込みのみ※)、取寄せ閲覧(申込みのみ※)、記事掲載箇所調査が利用可能になります。ただし(※)資料の利用には、図書館に行った際に登録利用者カード発行の手続きが必要です。国立国会図書館は東京本館と関西館、国際子ども図書館の3か所で、関西は京都府相楽郡精華町にありますので、是非一度行って見てください。

 

 次に、有料データベースの活用についてですが、大阪市立図書館では図書館が契約している商用データベースを利用者用検索端末で活用することが可能です。雑誌(日経系)や新聞(本社版・地方版)の検索や閲覧ができバックナンバーデータもあるので助かります。出身校の大学の図書館などでも契約している館があると思いますので是非一度図書館のサイトを覗いてみてください。

http://www.oml.city.osaka.lg.jp//?page_id=498

 

 また、最近では電子書籍も増えており、紙媒体の電子化(スキャン)も進んでいますので、図書館カードのIDとパスワードがあればインターネットから電子書籍が閲覧可能です。大阪市立図書館ではアクセスランキングの発表もされており、資格取得系や語学系のアクセスが多いことがわかります。語学の勉強に図書館を活用するのもいいかもしれませんね。

 

 最後にご紹介しておきたい活用方法は、「図書館に直接相談する」です。直接相談しないまでも、レファレンスを検索してみるのも1つの方法だと思います。国立国会図書館が全国の図書館等と協同で構築している、調べ物のためのデータベースとしてレファレンス協同データベースがありますので、是非こちらも覗いてみてください。

http://crd.ndl.go.jp/reference/

 

 最近の図書館はそんなサービスもあるのか~という項目が1つでも見つかり、図書館がみなさんにとって身近なものになれば幸いです。

 

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中川 普巳重(なかがわ ふみえ)

(公財)京都高度技術研究所 地域産業活性化本部 コーディネータ

福岡大学 産学官連携センター 産学官連携コーディネーター 客員教授

中小企業診断士、ITコーディネータ、(財)生涯学習開発団体認定コーチ

Eメール  fumie-na@k4.dion.ne.jp