顧客視点の価値提案その1 空港ラウンジ / 丸山 幸宏

<まえがき>

 もっぱら東阪移動は利便性で飛行機を使っておりまして、兵庫と東京の二重生活も9年を超え、子供が一緒に遊んでくれるうちはできるだけ週末“帰る”ようにしてきたことから、そこそこのステータスを頂き航空会社のラウンジを利用しています。

 今回は、そこでの顧客体験(おもてなし)について、バリュー・プロポジション・デザインという顧客視点の価値提案フレームワークとともに触れます。

 

<論点>

 具体的な体験は、自分の「動線」をもとにして、カスタマージャーニー風に捉えることができますね。まず入口カウンターでの受付に始まり、搭乗開始時刻までのひと時をくつろいで過ごしたあと搭乗ゲートへ向かうまでの、“ものがたり”です。

 まずは、このものがたりを文章で表現してみます。その後、バリュー・プロポジション・デザインのお作法で整理しながら、根っこにある要求を満たすサービスについて考えてみたいと思います。

 

<ラウンジ概要>

 某空港にある航空会社のラウンジで、規模は200席弱、サービスはアルコール類・ソフトドリンク・汁物(スープや味噌汁)・軽食(パンやおにぎりなど)・新聞雑誌・電源・マッサージチェアなどが提供されています。Webでは色んな専門家がプロデュースに関わっていると紹介されています。「アルコールや軽食も無料」がわかりやすい優位点。

 一方で、最近カード会社などが共用しているラウンジがリニューアルして、カフェ風のオープンな居心地を提供しており、航空会社ラウンジの居心地が、少々古めかしく感じられるようになってきました。こちらはアルコールや軽食はありませんが、「居心地の良さ」がわかりやすい優位点。

 

<私の利用概要:プロファイリング1>

(1) いつ

 主に利用するのは、週前半の早朝便と週後半の夜便に搭乗する前で、恐らく利用者がピークに近い時間帯。特に月曜日の始発便と金曜日の最終便近くでは、座席が不足することもある位混雑します。

(2) どんな使い方

 早朝便の時は、朝ごはんをパパッと食べて、ササッと搭乗します。

 夜便の時は、普段は事前に最終便を予約していて、仕事の都合で遅くなっていなければ、晩ごはんと晩酌を楽しみながら、普段読まないスポーツ新聞や雑誌を読んでリラックスしてから、搭乗します。

 昼間や休日便の時は、状況次第ですがサテライトオフィスのような使い方をしています。電源・Wi-Fiがあって飲みものとトイレに困らないので、割り込みのないとっても集中できる環境です。

 また、カード会社が共用しているラウンジは到着空港でも使えて、ちょっとした時間調整に使うこともあります。打ち合わせやリムジンバスの時間に合わせて、お茶しながらPC作業してから、移動を開始します。

 

<ラウンジのカスタマージャーニー>

(1) 受付

 カウンターにて、搭乗ゲートと同じように、カードを機械にかざすだけですが、スタッフに挨拶すると素敵な笑顔を返してくれます。

(2) 座席の“確保”

 できるだけ居心地の良さそうなあたりで、荷物を置いて座席を確保します。始発便や最終便の場合は、とても混雑していますので、とりあえず座れる場所を確保する感じです。座席には、1) カウンター席、2) テーブル席、3) グループ席、4) ライブラリー席、5) プライベート席があり、それぞれの状況で使い分けます。私の場合は、ほぼおひとりさま利用なので、5) →1) →3) 相席の順で利用していますが、時間がないときは 1) が一番便利です。

(3) 飲食物の“確保”

 メインのサービスカウンターは、ラウンジの端っこにあって、お行儀よくお盆を持って並んでの流れ作業よろしくの立て付けと、カフェテリア方式の分散配置が混在したような感じです。空いているとランダムアクセスでさっさと欲しいものが得られますが、混んでくると部分的に待ち行列ができ始めて、さらに混んでくると“なんとなく”1列に並び始めますが、ATM前のような秩序はなく、パンだけお代わりしに並んだ時とか、ちょっと残念な気持ちになります。

 また、ラウンジ中央付近にもサテライトのサービスカウンターがありますが、こっちは飲みものと乾きもの(おかきと飴)だけとなります。

 

 さて私の場合、大体以下のような動きになります。

(a) お盆

 小さな長方形のものを、10m超の一文字カウンターの真ん中あたり、下段からかがんで取ります。飲みものは右へ、食べものは左へ進む感じなのですが、普通両方ですね。

(b) 布おしぼり

 少し右に移動して、下段からかがんで取ります。紙おしぼりは色んなところに配置されています。

(c) ビール

 右端に移動して、ソフトドリンク類がピッチャーで冷やされた大きな冷蔵庫から冷えたグラスを取って、左隣に並んだ複数のサーバから1つ選んでグラスを置いてボタン1つ。

(d) 小皿

 左へ移動しながら、微妙に左右にバラついて置いてあるので、列から外れないタイミングで、下段から探してかがんで取ります。

(e) 食べもの

 ここから左端に向かって、棚割りが「おにぎり2種、パン4種、味噌汁、スープ、エスプレッソメーカー」の順で並びます。混雑している時間帯は、例えば「おにぎり+味噌汁」の人と、「パンとスープとコーヒー」の人が、ビールエリアから同じ列で並ぶことになり、搭乗前から行列ストレスを感じます。時折棚割りに従ってピンポイントで取りにくる人もいるのでお互いにストレスが増幅します。私の定番は、「ビール+おにぎり+特製パン+スープ」です。

(f) 暖かい飲みもの

 上記で触れた味噌汁とスープが、それぞれ保温型の寸胴でカウンター内部にセットされています。もう10cm左右に離して奥に並べれば、手前にお盆を縦向きに置くスペースもできて、和洋それぞれ別々にオペレーションできるのですが、どうやらそういうことを意図したデザインではないみたいです。

(g) シルバーとお箸

 寸胴2つの右奥にトレイがあって、寸胴は左がスープ・右が味噌汁なのに、なぜだかトレイは左に箸・右にスプーンが配置されています。

(h) エスプレッソメーカー

 いろんな種類のカフェメニューをボタン1つでサーブしてくれるマシンです。私の場合、1回目はここをスルーします。食後に、混雑を嫌って、サテライトの小さなカウンターへ回って、カプチーノを選びます。

 

<あとがき>

 いつもは絵にすること、文章だけで表現するとなんだか字数ばかり稼いでわかりづらくなりますね。区切って次回以降で整理したいと思います。

 

*以下次回以降にて。

<ラウンジのカスタマージャーニー(続き)>

(4)読みものの“確保”

(5)待ち時間をたのしむ

(6)食器返却

(7)その他

<バリュー・プロポジション・デザイン>

(1)顧客のプロファイリング(丸)

(2)提案する価値のマッピング(四角)とフィッティング

(3)価値を提案するアプローチのプランニング(ジャーニー)

 

<本>

「バリュー・プロポジション・デザイン  顧客が欲しがる製品やサービスを創る」

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00V9M5R7E

 

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■執筆者プロフィール

 Principal Consultant

   Yukihiro MARUYAMA(丸山幸宏)

 ITC(0015202003C), IT-CMF(Tier3)

 Business Design TSUMUGi LLC

 ボスはお客さま。夢は外から地球を眺めること。

 得意分野は、グローバルなソーシングやガバナンス、エンタープライズでのBPMや

 EAMと、デジタルトランスフォーメーションの推進。

ymaru.tsumugi@gmail.com

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