プラットフォームの信頼性をいかに高めるか ?! / 藤原 正樹

 今回は、ちょっと難しい話をします。

 

 最近、GAFAと呼ばれるGoogleやFacebookなど米国の巨大IT企業によるデータの独占やずさんなデータ管理に関する話題が後を絶ちません。

 私が過去に担当した本メルマガでも2回にわたりGAFAによる個人データ独占や、EU一般データ保護規則(GDPR)によるその規制について取り上げてきました。

 これらの企業群は、「プラットフォーム」と呼ばれる新たなビジネスモデルで急成長してきたことで特徴付けることが出来ます。

 

 私たちは、GAFA以外にもプラットフォーム型サービスを多く使うようになっています。”メルカリ”のような個人間のフリーマーケット・アプリ、”クックパッド”などの料理レシピ・コミュニティなどにお世話になっている方は多いと思います。

 

 皆さんは、これらのサービスを安心して使い続けるために運営会社に対して何を求めますか?

 

 プラットフォーム型サービスに共通しているのは、提供される情報(販売商品情報やレシピ情報など)を作っているのは、一般の利用者自身です。運営会社は交流の場所を提供し利用者間の交流を促しているだけです。

 

 そこで問われてくるのがタイトルにあるプラットフォームの信頼性=プラットフォーム運営会社の信頼性です。

 

■ プラットフォームとは ?!

 プラットフォームという用語は、最近ではかなり一般的に使われるようになりました。元々の意味は、「電車のプラットフォーム」というように周りよりも高くなった平らな場所のようですが、最近では新たなビジネス形態を指す用語として広く使われています。(IT用語としてのプラットフォームもありますが)

 

ここで少しお勉強です。

 

 G・G・パーカーなどによれば、プラットフォームは3つのタイプに分類されます。

(1) 交流型

 多様な人々が1つのプラットフォーム上で交流するタイプで、FacebookやLine、クックパッドなどもこれに該当します。

(2) 交換型

 売り手と買い手が1つのプラットフォーム上で価値の交換=取引を行うタイプです。メルカリやウーバー、楽天市場などもこれに当たります。

(3) 交差型

 ハードウエアやソフトウエアなどIT業界に典型的なプラットフォームで、「Windowsプラットフォーム」のように使われています。

 

 今回取り上げるのは、(1) 交流型と (2) 交換型です。

 

 従来型のビジネスでは、自社で商品やサービスを企画しそれを作り上げ、顧客に提供して対価を得ます。商品やサービスを顧客に届ける一連の活動は、”バリューチェーン”と呼ばれてきました。

 

 他方で、プラットフォーム型ビジネスにおいては、商品やサービスなどの価値を作るのは参加者自身です。メルカリに商品を出品するのは参加者ですし、クックパッドにレシピを投稿するのも参加者です。

 このように利用者自身が提供する商品やコンテンツが交換・交流しており、プラットフォーム運営会社はその中身に関与していないという点です。

 

 何年か前にFacebook上でのフェイクニュースの拡散が問題となり、Facebbok社の管理責任が問われたことがありました。それに対するFacebook側の回答は、Facebookは交流の場を提供しているだけでありそこで話されている内容に関与できないという趣旨の回答を行い非難を受けました。

 最近ではその見解も変化しているようですが、これらの事件がGAFAに対する国際的な規制のきっかけになったように思います。

 

 ここで問われたのがプラットフォーム運営会社の責任=信頼性です。

 

■ キュレーター、コミュニティ・マネジャーの重要性

 プラットフォームの信頼性を確保し、利用者のより活発な交流・価値交換を促すにはどうすればいいのか?

 

 GAFAで問題にされているのは、本人の了解を得ていない個人データの目的外利用です。これは利用者に対する背信行為で、信頼性以前の問題です。

 

 プラットフォームの信頼性は、つくり手と買い手などの参加者間での交流を促進することを通じたエコシステムとしての価値最大化によって醸成されるものです。

 

 ここではその一つの解として、キュレーターまたはコミュニティ・マネジャーの役割を示します。

 前述のパーカーらによれば、プラットフォームの運営管理・交流促進を行う役割を「キュレータ」と呼んでいますが、私は「コミュニティ・マネジャー」という表現が日本では分かりやすいと思っています。

 

 3年ほど前に私は、学生たちを連れてックパッドを訪問した経験があります。そこで、同社のコミュニティ・マネジャーの存在を教えてもらいました。

 そこで伺ったことは、

 「クックパッドはレシピを中心としたエコシステムをめざしている。レシピ検索No.1ではない。レシピを載せる⇒つくれぽが届く⇒感謝の気持ちを受け取る⇒レシピを載せるモチベーションアップにつながるという循環ができている。これを”黒子”として支えているのがコミュニティ・マネジャーの役割」とのお話でした。

 

 プラットフォームに関しては「個人データの適切な管理」が話題となりがちですが、それは最低限必要なことであり利用者に提供する価値ではありません。

 

 キュレーター、コミュニティ・マネジャーによる”見えない”関与こそがプラットフォームの価値を創っているのではないでしょうか ?

 

<参考文献、URL>

・ジェフリー・G・パーカー他「プラットフォーム・レボリューション」(ダイヤモンド社)

・「ユーザーファースト」と「BESTに集中」クックパッドの200万以上のレシピ投稿を支えるコミュニティ形成の方針とは 

https://logmi.jp/business/articles/90388

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■執筆者プロフィール

 

藤原 正樹(フジワラ マサキ)

 

公立大学法人 宮城大学 事業構想学群 特任教授

博士(経営情報学) 中小企業診断士

e-mail:fujiwara@myu.ac.jp