VDT作業と健康管理 / 富岡 岳司

「職場の安全衛生管理を考える」の第2弾はVTD作業についてです。

 

VDT(Visual Display Terminal)とはコンピューターなどの画面表示をする端末装置のことであり、VDT作業とはこのVDTを用いてデータの検索・入力・更新をおこなったり画像やプログラム作成や監視等を行う作業のことを指します。

このVDT作業を長時間連続して行うと健康を害する恐れがあり、VDT作業よる症状はVDT症候群と呼ばれています。

 

VDT症候群は体全体や目、或いは精神的な症状として表れやすく主に次のようなものがあげられます。

1. 体全体に関する症状

  頸肩腕症候群、自律神経失調症、頭痛、吐き気など

2. 目に出る症状

  ドライアイ、充血、視力低下、眼精疲労、眼痛など

3. 精神的な症状

  食欲減退、イライラ、不安感、抑うつ、睡眠障がいなど

 

VDT症候群を引き起こす原因としてブルーライトの影響や作業姿勢、作業環境などが考えられます。

このため、厚生労働省からVDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインが平成14年4月5日に発表されており、以下に幾つかを抜粋します。

 

1. 照明及び採光

1) 室内は、できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。

2) ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とすること。また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。

3) ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。

1. グレアの防止

1) ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整させること。

2) 反射防止型ディスプレイを用いること。 

3) 間接照明等のグレア防止用照明器具を用いること。

4) その他グレアを防止するための有効な措置を講じること。

 

更に厚生労働省では上記ガイドラインでVDT作業者に対して行うべき健康診断(定期健康診断に加えて、VDT配置前健診・VDT定期健診)も定めています。

 

このコラムをご覧頂いている方の多くは、VDT作業従事者に該当すると思われますが、VDT定期健診は受診されていますでしょうか。

先に述べた症状をお持ちの方はひょっとしたらVDT作業によって引き起こされているかも知れませんので、医師に相談されてみてはいかがでしょうか。

 

さて、今回、このVDT作業についてあらためて考えている中で不安になった事があります。

それは利用者が爆発的に増えたスマートフォンに関してです。

 

スマートフォンを何らかの形で業務利用されている方は多いと思いますが、パソコンやCADなどの専用端末に比べると連続して画面を見続けることはさほど多くないと思いますし、特殊な業務を除き画面を見ている総時間も大したことはないと思います。

しかし、仕事を離れプライベートとなれば状況は変わってくると思います。

例えば、通勤電車の中、昼休み、(私の場合、結構該当する)一人酒のお相手など、こういったシチューエンでは1時間近く、ややもするともっと長時間スマートフォンの画面を見続けているのではないでしょうか ?

そして、これは大人に限ったことではなく、保有率が激増している子供たちにおいても言えることであり、彼らの多くはスマートフォンをゲーム機として使用する機会も多く、大人以上に長時間、画面と睨めっこ状態にあると思われます。

 

内閣府の2017年の統計では、平日に1日5時間以上ネットを利用している小学生が5.1%、中学生は11.6%、高校生にいたっては26.1%と言う結果になっています。大半はスマートフォンの使用だと思われますが、スマートフォンであれパソコンであれVDTであることには変わりなく、子どもは大人よりもVDT症候群にかかりやすい環境下にあると言えるのではないでしょうか。

子供の遊びがテレビゲームにシフトしていった頃から「キレやすい子供」が増えてきたと耳にしていましたが、VDT症候群にある「精神的症状」が無関係ではないように思えてなりません。

 

VDT症候群になりやすい姿勢は

・画面を至近距離で見る

・光を発するものをじっと見る

・うつむいた姿勢で見る

と言われておりスマートフォンの操作はこれらが全て当てはまります。

 

このことは、厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」だけでは今日の国内におけるVDT症候群のリスクは低減できず、作業以外でのVDTに関する対応指針、例えば保健体育での啓蒙や校内の健康診断にVDT健診を積極的に盛り込むなどの方針を示す時期にきているのではと思います。

 

職場の安全衛生管理から少しそれましたが、VDTとその健康管理は作業に限ったものではなくなっており、時代の流れと共に考え方やガイドラインもタイムリーに変化させていかなければならないと感じております。

 

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■執筆者プロフィール

 

富岡 岳司

ITコーディネータ京都 理事

 

ITコーディネータ/IoTプロフェッショナルコーディネータ/MCPCシニアモバイルコンサルタント/文書情報管理士/電気工事士/セキュリティプレゼンター/第一級陸上特殊無線技士/第1種衛生管理者

 

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