5Gを学ぼう 第1回:スマートフォンがつながる仕組み / 富岡 岳司

 東京オリンピック開幕まで半年を切りました。

 前回(1964年)の東京オリンピックに比べ、今回は国立競技場が刷新された以外今のところ超目玉的なハコ物や建築は現れてはいません。

私達の生活に目を向けてみても、前回大会を契機にカラーテレビが急速に普及した事に比べると、今回の8Kテレビへの買い替え需要はさほど大きくないように思えますし、何となく社会変化として目新し感に欠ける今大会です。

 しかし、ITCを取り巻く環境は、今後、ターニングポイントだったと語り継がれる大会になるのではと思いますし期待もしています。

例えば、顔認証ゲートの導入、デジタルサイネージの拡充、VRテクノロジーの加速、多言語音声翻訳システムによる言語バリアフリー化、ITS(高度道路交通システム)の実用化などです。

そして、これらを支えるAIと5Gインフラがこの大会を機に大きく進化していくのだろうと思っています。

 本コラムではこの5G(※)について、読者の皆さんと共に数回に分けて学んでいこうと思います。

とは言っても一般的な知識レベルになりますので、専門とされている方、識者の方には物足りない内容になること予めご了承お願いします。

 

※5Gとは

 第五世代移動通信システムの略称でファイブジーと呼ぶ。

 GはGenerationの頭文字であり、携帯キャリアが「●G(ギガ)プレゼント」な

 どで使うデータ通信量の単位でもなければ、Wi-Fi接続時に出てくる2.4GHzな

 どの周波数帯域のGでもない。

 5Gの特徴は4G(今のスマフォでの通信)と比較して

 ・超高速化(LTEの100倍の通信速度)

 ・多重同時接続(LTEの100倍)

 ・超低遅延(LTEの1/10)

 とされている。

 因みにに

 1Gは音声アナログ電話(ダイヤル式電話の時代)、

 2GはPHSや初期の携帯電話、

 3Gは今で言うガラケー世代

 但し、4Gの一歩手前で3.9Gと言う言葉が使われ初期のLTEがここに属する

 

 

■第1回:スマートフォンがつながる仕組み 

 前置きが長くなりましたが、第1回は、いきなり5Gの核心に入るのではなく、今の4G(スマートフォン)が通信通話相手とどのように繋がって会話やデータ通信が出来ているのかを解説しておきたいと思います。

(以降ではスマートフォンなどの移動体通信端末を昔ながらに携帯電話と呼ぶことにします)

 

 携帯電話が繋がる仕組みを考える上で判りやすい比較がトランシーバです。

交通誘導員や警備員などで見かけるトランシーバ、これは、トランシーバ本体同士を直接、無線で繋げて会話するものです。

1対1の通話なら、糸電話の糸(有線)の代わりに無線を用いていると理解して良いでしょう。

従って、携帯電話のように「アンテナが近くにないから圏外になる」なんてことはありません。

でも、相手が無線の直接届かない距離に居れば繋がりません。

 

 一方、携帯電話は、基地局と交換局を介して相手と繋がります。

文字で図式化すると

Aさん←→基地局←→交換局←→交換局←→基地局←→Bさん

と言う感じです。 

従って、電話のように相手とリアルタイムに繋げる必要がある場合には、双方の携帯電話が互いに基地局に繋がる状態でなければなりません。

基地局には携帯電話との間で電波をやりとりするアンテナが設置されていることから、ひと昔前までは携帯電話が繋がらない時は「アンテナが近くにない」と言う言葉が良く使われました。

 

 その基地局にはアンテナと同じくらい重要な機器が設置されています。

それが無線機と言うものであり、様々な役割の中でも重要な一つとして電波と信号との変換が挙げられます。

 

 携帯電話は基地局とは電波を使って繋げます。

一方で基地局と交換局の間は光信号(光通信)で繋がっています。

基地局の無線機は、この電波と光信号との変換を担っています。

 

 例えば、上の図式を例にとるなら

AさんがBさんに「まいど~」と話しかけた声は、Aさんの携帯電話の中で電波に変換され、最寄の基地局に届きます。

基地局では、その【「まいど~」の電波】を、光信号に変換して交換局に光回線で届けます。

【「まいど~」の光信号】は交換局を中継してBさんの最寄の基地局に届けられます。

Bさんの最寄の基地局で【「まいど~」の光信号】が【「まいど~」の電波】に変換されてBさんの携帯電話に届きます。

最後にBさんの携帯電話の中で【「まいど~」の電波】が「まいど~」の音声に復元されて聞こえるようになります。

携帯電話同士の通話では、これだけの処理が一瞬にして行われているのです。

凄いことだと思いませんか ?

 

 このようにして携帯電話は相手と繋がっているのですが、ここで、疑問に感じた方がいらっしゃるかも知れません。

「Aさんは自分から発信するのだから近くの基地局がAさんの電波は捉えられるだろうけど、Bさんの最寄の基地局は、なぜ、Bさんが近くに居ると判ってるのか?」

と言うことです。

実は、携帯電話は電源を入れている間は(機内モードにしていなければ)常に最寄の基地局がどこなのかを基地局間とで通信しています。

そうなんです。

自分では何も発信していなくても携帯電話がそのような事をしているのです。

そして基地局は

「Bさんの携帯電話の最寄はこの基地局だよ」

「今、移動したから今度はここだよ」

と言う情報をリアルイムに専用のデータベースに記録しているのです。

この処理も基地局の無線機が担っています。

発信者のAさんについても同じです。

常に最寄の基地局がどこなのかを正確に把握しています。

なので、通話中に移動しても通信通話が途切れることなく次から次へと最寄の基

地局が切り替えられていくのです。(これをハンドオーバーと言います)

 

 それともうひとつ、基地局と交換局間の光回線について。

地方の野外コンサートなど普段、人が多くない場所でも最近は携帯電話が使えるようになりました。

私が住んでいる滋賀県でも、「イナズマロックフェス」や「●●の春の一大事」などが行われましたが、会場周辺は基地局が少なく来場者の通信通話には対応できない場所でした。

しかし、それでは参加者同士の通信通話で困るだけでなく万が一の時の緊急連絡手段さえ途絶えることになってしまいます。

でも、そのような問題は既にクリアされており、会場では都市部と同じようにSNSを使ったり友人に電話することができました。

どう言うことなのでしょうか。カラクリは・・・

車載基地局です。

通信キャリアがイベントに向け、小型トラックに電源と無線機とアンテナを積んで現地に出向き、そこで臨時の基地局を開設していたのです。

今度、機会があれば滋賀に限らずコンサート会場や大きなイベントの周辺を見て回って下さい。

多分、アンテナを建てた通信キャリアのトラックがあると思います。

 

 最後にもうひとつだけ。

「その車載基地局、アンテナと無線機があるのは判ったけど、交換局までどうやって信号を届けてるの?」

と言う疑問に気付いた方へ。

そうですよね。車に光回線を繋げるなんてできませんよね。

でも、交換局に送らないと相手にも届きませんよね。

固定電話網も使えないない中でどうやっているのでようか。カラクリは・・・

衛星回線です。

通信速度は落ちますが、衛星回線を使って交換局まで届けています。

これまた凄いことだと思いませんか?

この車載基地局、イベントだけではなく、震災・台風・豪雨などの災害時も人命を支える重要インフラとして大いいに活躍しています。

 

第1回はここまでです。

 

第2回は5Gの近況について考えてみようと思っています。

(変更するかもしれませんが)

 


■執筆者プロフィール

 富岡 岳司

 ITコーディネータ京都 理事

 ITコーディネータ/IoTプロフェッショナルコーディネータ/MCPCシニアモバイルコンサルタント/文書情報管理士/第ニ種電気工事士/セキュリティプレゼンター/第一級陸上特殊無線技士/第一種衛生管理者

 e-Mail:tomiyan@r9.dion.