健康経営を考える その2 / 松井 宏次

昨年の祇園祭の期間中は、夜になっても気温が35度を越える日が幾日もありました。今年はといえば様子が違っています。ぼちぼちと迎える夏本番。太陽が容赦無く照りつける日々は、令和初めての夏にはどのくらいあるのでしょう。気象庁によれば、エルニーニョは6月に収束し、ラニーニャの発生もないようです。

ちなみに、あの太陽の色は、イラストでは、赤や黄色で表わされます。夕陽などは大気のおかげで赤く見えてしまうのですが、本来の太陽光は白ですね。

 

前回に続き、健康経営に関する話をお届けします。

 

■生産性の向上

「健康経営」を前回とりあげたとき、健康増進や労働衛生などにかかる支出が「コスト」ではなく経営的な「投資」だと考えられることをお伝えしました。そして、生産性向上の鍵を握る経営手法として注目されていることも、合わせてお伝えしました。

 

大量生産、大量廃棄の時代が終焉を迎えるとは言われますが「生産性の向上」は、なお求められています。生産年齢人口の減少が進む国内では、避けられない解決すべき課題とされています。

「生産性向上」への突破口になることを期待して、さまざまな技術が、「AI」「スマート」といったカテゴリーに入れられて喧伝気味にPRされる時代も、しばらく続きそうです。やがて、地についた技術として定着するのでしょうが。

もっとも、本来は、そもそも現状の「生産」が何のためにいつどれだけ必要なのかを改めて考えることが大切です。その考え直しも避けられないことです。

 

■ストレス

ストレスとは、外から何かの力が加わることでの歪みのことを言い、その外からの力は、ストレッサーと呼ばれます。

心や身体に対しても、同じように用いられます。

 

<私たちのこころや体に影響を及ぼすストレッサーの分類>

「物理的ストレッサー」

  暑さや寒さ、騒音や混雑 etc.

「化学的ストレッサー」

    公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素 etc.

「心理・社会的ストレッサー」

    人間関係や仕事上の問題、家庭の問題 etc.

 

<ストレッサーによって引き起こされるストレス反応の分類>

「心理面でのストレス反応」

  活気の低下、イライラ、不安、抑うつ etc.

「身体面でのストレス反応」

  体のふしぶしの痛み頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸や息切れ、胃痛、食欲低下、便秘や下痢、不眠 etc.

「行動面でのストレス反応」

  飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故、ヒヤリハットの増加 etc.

 

厚生労働省によるメンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」では、上記のように分類して説明しています。

このほかに、例えば何らかの変化などの出来事が、ストレッサーになることもあれば、また、心理面のストレス反応から行動面のストレス反応につながっていくことに着目したとらえかたもあります。

ストレスは日常でも使われる言葉ですが、産業界でも早くからこのストレスの扱いは様々に検討されて来ました。

 

■ストレスチェック

健康経営のプログラムのひとつがメンタルヘルス対策です。その中に、ストレスチェックがあります。労働者自身が行うストレスについての検査です。簡単な選択式の質問票に応えることで行います。「労働安全衛生法」の改正にともない、労働者が50人以上いる事業所では、2015年12月から、毎年1回、この検査を全ての労働者に対して実施するストレスチェック制度が義務づけられています。

 

ストレスチェック制度では、個人のストレス度の評価、ケースによっては職場ごとのストレス度の評価が行われます。個人は、評価結果に応じ、セルフケアを行ったり、申し出でて医師の面接指導を受けたりすることができる仕組みです。いうまでも無く、個人情報に十分に配慮し、間違えても不利益扱いなどを受けない運用にすることが重要です。制度も、その対応を踏まえたつくりになっています。

このストレスチェックの法制度ができたことで、メンタルヘルス対策の広がりが進んだとされています。

 

メンタルヘルスは、一次予防から三次予防までの段階で捉えることができます。

 

 一次予防

  職場環境の改善やストレスマネジメント

 二次予防

  メンタル不調者の早期発見、対応

 三次予防

  メンタルヘルス不調者の職場復帰や再発予防

 

ストレスチェックは、一次予防のなかに位置付けられます。医療活動と同じく、一次予防は重要です。

 

健康経営が生産性向上の鍵を握る経営手法であることは確かです。そのうえで、企業、ことに中小企業・小規模事業者が実行する場合は、自動化、合理化などによる生産性向上策との有効な組み合わせがあるとも考えられます。

いずれにしても、経営者が、健康経営を正しく理解するだけでも、経営の伸長に効果があることは確かです。

 

 

参考サイト:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳

http://kokoro.mhlw.go.jp/beginner/

参考文献:健康経営アドバイザーテキスト2018

 

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■執筆者プロフィール

 

 松井 宏次(まつい ひろつぐ)

 ITコーディネータ 中小企業診断士 1級カラーコーディネーター

 健康経営アドバイザー

 焚き火倶楽部京都 ファウンダー